560話 ページ16
おどけた口調で翔が言うのを聞いて、和臣が待ちかねたように口を開いた。
「さぁ、話せよ」
翔はうなずき、微笑みを消す。
「京浜銀行では、その日の営業が終わると、集まった金を金庫から出し、ジュラルミンのケースに詰める。
この時は、支店長以下いく人もの職員が立ち会って、間違いがないことをしっかり確認するんだ。
そして21時30分に、現金輸送車が裏口に着く。
現金輸送車に乗ってきた警備員は、車の外に出て、待機。
そこに銀行の職員2人が、ジュラルミンケースを運んでいく。
警備員は、そのケースを受け取り、現金輸送車に積みこむ。
襲撃計画では、この時をねらうことになっている。
不良たちは、現金輸送車を襲い、ジュラルミンのケースを壊し、そして警察が来る前に逃げろという命令を受けているんだ。
それで50万をもらう。
警備員は警察に通報し、やってきた警察は、ジュラルミンケースが壊されて、金が消えているのを発見する」
和臣が叫んだ。
「どこがダミーなんだ。思いっきり主役じゃん」
違うのよねぇ。
「金は?」
和典が言った。
「不良に出ている命令は、ケースを壊して逃げることだけだろ。金は、誰が盗むんだ」
『トリックよ。
積みこまれたジュラルミンケースの中には、もともと、お金なんて入ってないのよ。
壊すのは、そこから盗まれたと思わせるため。
お金は、それ以前に消えているのよ』
「ははん」
貴和が、わずかに笑った。
「社外の人間が立てる計画にしては、内部にくわしすぎるよな。
つまり、内部に共犯者がいるってことだろ。
オレたちは、ずっと気にしていたんだ、タバコの件でね。
今、未成年がタバコを入手するのは難しい。
これには大人がからんでいるんじゃないか。
つまり大人がタバコを提供しているか、それともタバコ購入に必要なTASPOを貸しているかどっちかだって。
ところが大人の姿は、今まで全然見えてこなかった。
今初めて、その影がちらついたんだ。
つまり、オレたちに見えていなかった大人ってのは、銀行内部にいる共犯者なんだ。
不良を使って集団を組織すれば、派手だし、前代未聞の未成年の集団犯行ってことになって、警察の目もマスコミの関心も、当面そっちに向く。
それで内部の犯行説が浮上しにくくなるんだ。だから不良たちは、ダミーってことなんだろ」
『パーフェクトっ!』
私の声に、貴和は一瞬微笑んだ。
けれどもその目は、まったく笑ってなかった。
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きょっちー(プロフ) - シーエル目つぶしさん» コメントありがとうございます!トップ3なんて…本当に嬉しくて、私もベッド蹴って壁殴りましたwwテスト期間も終わり、やっと更新できて、私も嬉しいです。これからも頑張って、トップを目指します!これからもよろしくお願い致します! (2020年8月6日 22時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
シーエル目つぶし(プロフ) - あの、、、すみません、、、この作品、お気に入りの中でトップ3に入るくらい好きなんですが、めっちゃ更新されてて10秒固まり深呼吸をしてベット蹴って壁殴っちゃったじゃないですか!w (2020年8月6日 21時) (レス) id: 7ab4427546 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 雫さん» ありがとうございます!雫様もテスト、無理をせずに全力を出してきてください。楽しみにしていただいているなか、お休みをもらってすみません。なるべく早く更新できるよう、頑張っていきます! (2020年7月18日 20時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - 私も今期末テスト中です(一緒ですね!)!きょっちーさんが書く物語がとても面白く毎日楽しみにしています^^ これからもっと暑くなるので、熱中症などに気おつけて下さい!もちろん新型コロナウイルスにはもっと気おつけて下さいませ! 応援しております^^ (2020年7月18日 19時) (レス) id: 2ccaeb30df (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 紗奈#さん» ありがとうございます!お待たせしてしまうのは心苦しいですが、頑張ってきます! (2020年7月18日 15時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2020年6月21日 10時