559話 ページ15
「そいつは、無理だろ。だって、誰が強盗すんだよ。オレたち、今、そいつをそっくりノしちまっただろ」
問題の不良たちは、体力的にも気力的にも、まったく使い物にならなくなっている。
けど和臣は、てんでメゲる様子がなかった。
「おい、これはKZが注目される絶好のチャンスなんだぜ。逃してたまるか。こいつら、たたき起こせ。そいで銀行に突入させるんだ。ヘロヘロでもいい。どうせオレらに捕まるんだからさ」
「若武、おまえ」
和典が和臣の耳を引っ張り、その中をのぞきこんだ。
「殴られて、脳ミソ飛んでったんじゃねぇのか」
んなわけないでしょ…。
その時、翔が切りこむように言った。
「何があろうと、襲撃は予定通り、今夜だ」
そう、今夜でないといけない理由があるから。
和典がふっと笑う。
「だけど、これじゃ、できないんじゃね?」
翔は、倒れている不良たちを見回した。
「こいつらは、ダミーなんだ」
『どうしても今日、やることになっているのよ。そうよね、小野塚くん。最悪の場合、あなた1人でも何とかしろって言われてるんでしょう』
小野塚くんは、黙ったままだった。
貴和が、艶やかなその目に興味深そうな光をまたたかせる。
「くわしく聞きたいもんだね」
和臣がうなずき、和彦の持っている携帯電話に視線を流した。
「話せよ。おまえの危機、救ってやっただろ」
翔は、不敵な微笑を浮かべた。
「おい、若武、オレと姉貴がバックアップ取ってないとでも思うのか。大事な証拠だ。パソコンにもUSBにもコピーしてある。その携帯1つくらい、どうなっても構わなかったんだよ」
和臣は、チッと舌打ちした。
「おまえ、話さねー気?」
くやしそうににらみつける様子は、少し子どもっぽかった。
「話してもいい。だが、金が先だ」
そう言って翔は、涼しげな感じのする2つの目に、強い決意をきらめかせた。
「小野塚に600万、振りこませるんだ。オレたちはそのために、ここまでやってきた。絶対、譲れねぇからな」
瞬間、和臣は一気に、翔に背中を向けた。
「じゃ、さっさとやれよ。法的には問題があるが、オレは法の番人じゃない。何も聞かなかったし、何も見なかった」
「サンキュ。姉貴も来いよ、一緒に見届けようぜ」
翔に言われて、私も小野塚くんの操作を見守った。
そして返された携帯電話の画面を、間違いなく確認した。
「オッケ」
その声に、皆は振り向いた。
「小野塚様、お振りこみ、ありがとうございました」
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きょっちー(プロフ) - シーエル目つぶしさん» コメントありがとうございます!トップ3なんて…本当に嬉しくて、私もベッド蹴って壁殴りましたwwテスト期間も終わり、やっと更新できて、私も嬉しいです。これからも頑張って、トップを目指します!これからもよろしくお願い致します! (2020年8月6日 22時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
シーエル目つぶし(プロフ) - あの、、、すみません、、、この作品、お気に入りの中でトップ3に入るくらい好きなんですが、めっちゃ更新されてて10秒固まり深呼吸をしてベット蹴って壁殴っちゃったじゃないですか!w (2020年8月6日 21時) (レス) id: 7ab4427546 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 雫さん» ありがとうございます!雫様もテスト、無理をせずに全力を出してきてください。楽しみにしていただいているなか、お休みをもらってすみません。なるべく早く更新できるよう、頑張っていきます! (2020年7月18日 20時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - 私も今期末テスト中です(一緒ですね!)!きょっちーさんが書く物語がとても面白く毎日楽しみにしています^^ これからもっと暑くなるので、熱中症などに気おつけて下さい!もちろん新型コロナウイルスにはもっと気おつけて下さいませ! 応援しております^^ (2020年7月18日 19時) (レス) id: 2ccaeb30df (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 紗奈#さん» ありがとうございます!お待たせしてしまうのは心苦しいですが、頑張ってきます! (2020年7月18日 15時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2020年6月21日 10時