警察官でした。12

558話途中まで彩side ページ14

すると、桜田さんに1人がナイフを向けた。

だけど簡単に奪われて、桜田さんの蹴りで沈んだ。

しかし、蹴っている瞬間に、後ろから髪をつかまれてしまった。

少し先では、黒木クンの後ろにもナイフを持ったヤツが。

『貴和っ！』

※※※
貴和side

不良を1人倒すと、後ろから被さってきた影に振り返った。

すると、男のゆがんだ顔とAの足が見える。

どうやら飛び蹴りをしたようだ。

その男の手からは、ナイフが滑り落ちた。

お礼を言おうとAの方を見て、声が出ない。

着地したAは、1枚の絵画のような美しさで、その髪をなびかせていた。

…アーヤと同じくらいの長さになった、ざんばらの髪を。

※※※

不良たちは皆、ノされて地面に転がり、あるいは尻もちをついてへたりこみ、立っているのは、貴和と翔と私だけだった。

和典はしゃがみこみ、その隣に和臣が転がっている。

皆、放心したみたいな目つきで、のめりこむように空中を見すえ、開けた口で荒々しい呼吸をくり返しながら肩を大きく上下させていた。

「おい、若武先生、致命傷か？」

和典が苦しげに頬をゆがめながら、手を伸ばして揺さぶると、和臣はうつぶせになったまま、ぽつりと答えた。

「オレ、もう死.んでる…」

立花さんが出てきて、和臣の頭を軽く叩いた。

「しっかりしろ。リーダーでしょ」

和臣は、電気ショックでも受けたかのように、即座に飛び起きた。

「小野塚、おまえ、何でオレのこと忘れてんだよ」

まだ元気そうね…。

「これから、KZとしてどう行動するかを決めなくっちゃならないと思うんだけど」

和典が、服を払って立ち上がりながら翔を見た。

「ここに集合したおまえらって、この後、どういうスケジュールになってんの」

翔は、自分の腕時計に視線を落とした。

「21時30分に、駅前の京浜銀行に現金輸送車が着く。その日、銀行に集まった金を集めて本店の大金庫まで運ぶんだ。それを襲う予定」

「すげっ！」

和臣が叫んで両手の指を組み合わせ、声援に応えるアスリートのように、肩の上で振り動かした。

初めは左の肩の上でやって、それだけで収まらずに、次は右肩の上でもやった。

相当うれしいんだな。

「よし、決めた。KZは、これから銀行強盗を捕まえに行く。KZ史上に残る、過去最高の派手な事件だ。テレビ局に電話して、実況中継してもらおうぜ」

貴和が少し笑った。

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