警察官でした。12

557話彩side ページ13

かといって、ここで私が出ていっても、ますますどうしようもない。

ああ、どうすればいいのっ？！

と思った直後、小野塚が叫んだ。

「やっちまえ」

砂原の後ろから、4人がいっせいに飛びかかる。

が、小野塚の横から新庄が飛び出し、その不良たちを殴り倒した。

「なっ？！」

新庄は小さく息をついて、砂原を見た。

「油断大敵」

砂原も軽い様子で、顔の前に片手を縦にして上げた。

「悪い」

え、どういうこと？！

新庄は、立ち木のほうに向かって声をかけた。

『いるんでしょ、出てきなさいよ。あの時の借り、返しましょう』

その声は…、桜田さんっ？！

立ち木の陰から、若武、上杉クンと小塚クン、それに黒木クンが姿を見せた。

ゆっくりとこっちに歩いてきて、立ち止まる。

「小野塚、久しぶりだよな」

上杉クンがメガネを取り、たたみながらちょっと笑った。

「おまえ相変わらず、ろくなことやってないな。怪人Xかよ。よく言うぜ」

小野塚は、うめくようにつぶやく。

「上杉…」

しばらく絶句していて、やがて取ってつけたように言った。

「ボクが、自分で名乗ったわけじゃないから」

上杉クンは、かみつくような笑顔を見せる。

「いつも人のせいだよな」

脇にいた若武が、不満そうに上杉クンを見た。

「おい、何で、おまえだけが認知されてんだよ。オレはっ？！」

しかし小野塚は、新庄と名乗っていた男に視線を移していた。

「新庄っ、おまえ…」

新庄はくすっと笑う。

『ごめんなさいね、新庄誠也は偽名なの。そんな男、どこにも存在しないわ』

そして頭に手をかけ、下に勢いよくずらした。

上半分だけ銀髪だった髪が取れ、肩甲骨まである黒髪のポニーテールがなびいた。

『KZリサーチ事務所所属、桜田A、薊の少女よ。それが、私の本当の正体』

そう言って、小野塚や不良に軽くウィンクした。

不良たちの顔が少し赤くなる。

「おまえはおまえで、何で、そんなカッコよく決まってるんだよっ！」

瞬間、我に帰った不良たちがいっせいに飛びかかったんだ。

わっ！

若武は、とっさにそのパンチをかいくぐりながら、砂原の持っていた携帯を取り、小塚クンに投げた。

「小塚、受け取れっ！」

それを聞いて、小塚クンが、もう必死の形相で携帯をキャッチした。

「小野塚は、おまえに任せた。これを使って、映像を警察に送るって脅して、おとなしくさせとけ」

そこからしばらくの間は、入り乱れての、殴ったり殴られたりが続いた。

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