警察官でした。12

545話 ページ1

そう言われて、立花さんは仕方なさそうにその時のことを話した。

「その時、不良は6、7人いて、そのうち2人は年上って感じ。小野塚と新庄って名前だった」

立花さんがそう言った瞬間、皆と皆の目の間を、稲妻のように何かが駆け抜けた。

「まさか…、あいつ？」

和臣がそう言い、和典が首を横に振った。

「ありえねー。違うよ」

貴和が、立花さんに目を向ける。

「そいつって、もしかして」

その言葉をさえぎるように和臣が言った。

「デブで、糸みたいに細い目してて、しかも雰囲気の悪いヤツ？」

「当たりっ！」

立花さんが答えると、和臣は、まいったというように頭を抱えこんだ。

「あいつかぁ…」

和典も、吐き出すようなつぶやきをもらす。

「小野塚かよ」

貴和が、その艶やかな目を静かに輝かせながら静かに微笑んだ。

「なるほどね」

皆、その人物を知っているらしい。

「小野塚を仲間にいれてくれる人間なんて、この世に存在するのか」

和典がそう言って、立花さんがあわてたように口を挟んだ。

「仲間っていうより、上みたいだったよ。かなりいばってたもん」

和臣も和典も、ギョッとしたような顔つきになった。

「信じらんねぇ！」

「オレも！」

「あいつって臆病で、卑怯だったじゃん。リスク取らないタイプでさ。それが不良の上に立ってるなんて」

「何で不良が、それを許してるんだ？」

「だよな。不良って体がいいとか、バトルが強いとかじゃなくっちゃ、ついてこないんじゃ、ね？」

「だろ。だってさ、覚えてるかよ、KZの試合の時にさ」

2人は、まるで機関銃のようにしゃべりだして、まったく止まらなかった。

立花さんが貴和に聞いた。

「小野塚って、誰なの」

貴和は苦笑しながら、しゃべりまくっている2人をながめた。

「秀明の生徒で、オレらより1年先輩。
だけど中学受験に失敗して、1年留年してる。
成績は、結構よくて、確かに太り気味だったけど、運動神経も悪くなくて、KZに入ってたんだ。
補欠だったけどね。
でも性格が悪くて、秀明では、皆に嫌われてた。
先生にも、だ」

塾でそれだけ嫌われるって、ある意味すごいわね。

「決定的だったのは、KZでキャンプした時。
小野塚が、カセットボンベを爆発させたんだ。
ボンベを交換する時には、いったん火を止めなくちゃいけないんだけれど、それを忘れたか、あるいは面倒だったからしなかったか、どっちかだね」

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