38話 ページ38
服部くんが言うと、伊東はふっと微笑んだ。
「真実を、つかんでくれたかい?」
『ええ』
「私はもう長くはない。だから、真実を暴いてくれる探偵が必要だったんだ。頭脳だけではなく、タフな本当の名探偵がな。さあ、言ってくれ。君たちがつかんだ真実を」
冷めた表情で聞いていた服部くんと私が口を開く。
「4月8日、ファー・イースト・オフィスにいてた西尾正治氏を」
『向かいのビルのトイレから射殺した犯人の名は…』
『「清水麗子!」』
伊東がハッと息を飲む。
『彼女は西尾殺.害の罪をあなたに被せ』
「事故に見せかけてアンタまでをも殺.害しようとしたんや」
私と服部くんの報告に、伊東は電動車椅子のひじ掛けを強く叩いた。
「嘘だ!私がトイレから西尾を撃ったんだ!!おまえたちも警察と一緒なのか!無能なのか?!」
怒鳴った伊東が、苦しげにうめく。
『確かに、あなたはトイレからライフルを撃った』
「清水麗子が撃った後でな」
「な、何?!」
予想外の報告に、伊東の声がうわずる。
『外れていたのよ…、あなたが撃った7発の弾丸は』
「な、7発だと?あのライフルに装弾できる弾は8発のはず…!」
「まぁ、トイレに散らばった薬莢も拾わんと、慌てて逃げてしもたアンタに、何発撃ったかなんてわからへんやろけどな」
『そのとき、西尾はすでに殺.害されていたのよ』
「そんなバカな!私は見たんだ!私が撃った弾で西尾が床に崩れ落ちるのを…!!」
「あら、アンタの撃った弾のどれかが偶然椅子のキャスターを撃ち抜いただけや」
服部くんは微笑みながら、指で銃を撃つ真似をした。
電動車椅子の背もたれから小刻みに震える伊東の肩が見える。
「だ、だったら、私の撃った弾が偶然西尾に当たったと…!」
伊東が電動車椅子に座ったまま顔を私たちに向けると、服部くんが一蹴した。
「アホか。そんなに乱射されて椅子に座ったまま、逃げへんヤツがおるかい」
「じゃ、じゃあ、最初の1発目が偶然当たって…」
『西尾が死.亡時に座っていた椅子の背についた血.痕は、座面に対して垂直に流れた状態のまま凝固していたわ。
だからわかったのよ。
西尾の頭を1発で撃ち抜いたスナイパーと』
「流れ出た血が凝固した後、弾を乱射した素人さん二人の犯人がいるってな」
私と服部くんが突きつけた真実に、伊東は唖然とした。
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華菜原 舞衣 - こちらこそです。 (2020年5月27日 12時) (レス) id: 7aa09cf11b (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 華菜原 舞衣さん» こちらでもコメントありがとうございます!コナンが出てこないのは、その立ち位置に夢主ちゃんがいるからです。なので哀ちゃんや少年探偵団、蘭も出ません。KZのみんなと黒木くんがいるので。「らーんっ!」が「貴和ーっ!」になってます。これからもお願いします! (2020年5月27日 12時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
華菜原 舞衣 - うぇ〜いこちらも初コメだ〜いっ警察官でした、も、引き続きがんばれぇい!←毎回キャラ崩壊してる人 PSこれってなんでコナンでてこないの? (2020年5月27日 12時) (レス) id: 7aa09cf11b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2020年5月20日 22時