541話途中まで翔side ページ47
オレに近付いてきて肩に手を置き、また耳元でささやいた。
「オレがいるんだから、嫌なら断ればいい」
新庄…。
オレの脳裏に上原家と、もう一つの家族の顔が浮かぶ。
「…わかった。やるよ」
小野塚はニヤッと笑い、オレにカードを渡してきた。
そのメッセージの周りには、ピンクの蛍光ペンでハートマークが書かれていた。
※※※
家に帰ってきて部屋のドアを開けると、ベッドの上にはバラの花束が。
近付いて持ち上げてみると、紛れるようにメッセージカードが刺さっていた。
[お疲れ様。そっちも大変だろうけど、頑張ってね。愛してるよ]
紫色の6本のバラ。
貴和だって大変だろうに…。
触ってみると、どうやらプリザーブドフラワーになっているらしい。
これならずっと枯れない…って、そういうことね。
私はスマホを取り出して、貴和にメールを打った。
[バラありがとう。とっても嬉しいわ。当日は無理だったけれど、私も必ずチョコレートを渡すから、待っててね]
※※※
次の日の朝、学校に行くために駅へ向かっていた。
いつもはこっそりスケボーで通ってるが、今日はメンテナンスが途中だから、大人しく電車にしたのだ。
「A?」
呼ばれる声に振り返ると、貴和、和臣、和彦がいた。
『おはよう、あなたたちもこの時間なのね』
「おはよう。よかったら駅まで一緒に行こう」
和彦の誘いにのって、他愛もない話をしながら歩き、駅に着いた時に和臣が何かに気づいた。
「あ、アーヤじゃ、ね?」
立花さんは、道の真ん中にしゃがみこんでいる。
「様子、変だよ」
皆に続いて立花さんに近寄る。
貴和がその肩に手を置くと、驚いたように顔を上げた。
「どうしたの。気分でも、悪くなった?」
立花さんは首を振るだけで、何も言わない。
私はあたりを見回し、人が集まっている伝言板に近寄り、貼られている紙をむしり取った。
『原因はこれみたいよ』
私の差し出したカードに視線を落として、和臣は、目を見開いた。
「アーヤ、おまえ、砂原に接近したのかっ?!これ以上動くなって言っといただろーがっ!」
「まぁまぁ、若武先生」
貴和がそう言って腕を伸ばし、和臣の肩を抱き寄せた。
「アーヤだって、考えた末の行動だと思うよ。オレたちがモタモタしてたから、きっと助けようとしてくれたんだよ。そうだろ?」
貴和の言葉に、ついに立花さんは泣き出した。
「あーあ、黒木が泣かせた」
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華菜原 舞衣 - うわっ48分前っありがとうございます!楽しみにしてます。 (2020年5月27日 12時) (レス) id: 7aa09cf11b (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 華菜原 舞衣さん» コメントありがとうございます!前世ユズリ…お仕事でやっていたんです。前世譲りの知識やテクはこれからも登場します。楽しみにしていてくださいね! (2020年5月27日 11時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - ひーとさん» コメントありがとうございます!これからは黒木くんの謎がさらに深まるのか、夢主ちゃんが過去を話す日は来るのか、ご注目ください。これからもよろしくお願いします! (2020年5月27日 11時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
華菜原 舞衣 - 夢主の前世ゆずりのテクって・・・前世でもやってたってこと!?オソルベシ・・・更新、楽しみにしてます。がんばってください。 (2020年5月27日 10時) (レス) id: 7aa09cf11b (このIDを非表示/違反報告)
ひーと - 黒木くんの過去が良い感じに仲を深めましたね〜。めっさキュンキュンします。此れからも楽しみにしています。更新大変だと思いますが、頑張ってください! (2020年5月26日 1時) (レス) id: c8f6957e50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2020年5月20日 19時