警察官でした。11

540話翔side ページ46

「健気だね。いいの？今時こんな子、なかなかいないんじゃない？多少のことなら許してくれそうだから、浮気バレしても安全かもよ」

不良たちがどっと笑う。

「新庄さんはどうだったんスか？」

「オレは1回だけ、バレたことがあるよ。やたらご執心だったお姉さんが、オレの跡を四六時中追ってたのに気付けなくてさ、刺されかけたよ。小野塚さん、オレにもそのカード見せてよ」

新庄は小野塚からカードを受け取り、それに一通り目を通した。

「ほら、砂原も読んであげなよ」

そう言ってオレに差し出そうとした時、脇から不良たちがそれを奪った。

「おー、スゲェ！」

「マジ告じゃね？！」

「おい、返せって！」

叫びながら腕を伸ばすが、すんでで届かない。

新庄が耳元にささやいてきた。

「何とかして、カードをおまえに近づける。カードの一番下に、差出人の名前がある。これだけ言えば、わかるよな」

オレは小さくうなずき、新庄は不良の群れに入っていった。

「ほらほら、その辺にして。結構カードも凝ってるみたいだし、砂原の目にも入れてやらないと」

不良からカードを奪い取り、オレに差し出してくる。

オレはそれを素早く取り、立花の名前の所を食いちぎった。

口の中で小さくして飲みこむ。

新庄が、ガッとオレの髪を掴み上げた。

「オレは目に入れろって言っただけで、口に入れろとは言ってないけど？」

不良たちは新庄の雰囲気に押されているが、オレだけに向けられた目は、よくやったと誉めている。

「新庄、そうキレるなよ。いいこと思い付いたからさ」

小野塚がニヤニヤしながら、新庄の肩に手を置いた。

「いいこと？」

「砂原、おまえ、ラストテストまだだったよな。そのメッセージカード、駅の伝言板に張り付けろ」

「なっ…？！」

驚いている隙に、小野塚にカードを取られてしまった。

「おい、小野塚！」

不良たちにはばまれて近づけないが、カードに何か書いてるらしい。

新庄が近付き、後ろからのぞきこんでいる。

「いい趣味してるねぇ。オレへのラスト・テストはどうする？」

「そうだな…。そのタバコで根性焼きは？」

「いいよ。場所と数のご希望は？」

「腕で3つだ」

新庄は何のためらいもなく、腕に5回タバコを押しつけた。

他のヤツらが笑いながら言った。

「新庄さん、2回多いっすよ」

「それだけやる気ってことだよ。これで、オレはクリアだな。さ、オレを引きこんだおまえは、どうする？」

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