531話途中までNOside ページ37
ところが途中で袋から封筒だけを取り出し、タバコの入った袋はゴミ箱に入れた。
そして封筒は、交番の机に落とし物として置いた。
銀髪男はスマホを取り出し、その画面に映る地図と、移動する印に対し不敵に笑った。
※※※
スマホが音を鳴らし、翔からの着信を知らせる。
『どうしたの』
【立花から会いたいって言われたんだ。駅で待ち合わせして、上原家まで連れていくつもり】
不良グループの調査かしらね。
『そう。立花さんと一緒のところを、連中に見られたら厄介よ。周りには充分気を付けて』
【わかってる。それに、会うのは最後にするよ】
そう言って電話を切ってしまった。
私はスマホを仕舞いながら、胸に誓う。
またすぐに会えるようにしてあげるから、と。
※※※
会議のある土曜日の朝。
「A、これ、どうかな」
そう言ってキッチンに入ってきた貴和は、全身不良スタイル。
長い髪はグリスで固めてオールバック、銀の鋲を打った黒革のジャンパーに、銀の鎖の下がった黒革の細身のズボン。
手は指先の出た黒い革の手袋、顔には細身のサングラスに、パッドが取れたから痛々しい傷痕。
私は全身を何度も見て、ニヤリと笑ってしまう。
『カッコいいわよ。結構アリかも』
「なら良かった。これからこのあたりをシマにしてる暴走族の総長と、会えることになっているんだ」
本当、貴和のコネクションって…。
このあたりをシマにしている暴走族といえば、確かその女が男好きだったような…。
私は玄関まで走って、靴を履いていた貴和に後ろから抱きついた。
ジャンパーを少しずらしてその首筋に吸い付く。
『ずらさない限り、見えることはないわ。判断はあなたに任せるわね』
貴和は痛みで察していたのか、ふり返って私の口に吸い付いた。
「わかった。じゃあ若武の家でね」
そう言って出ていった。
総長の女なんて繋がれたら大きい。
だからこそ、貴和の判断に任せたのだ。
嫌だなんて言って、貴和の邪魔にはなりたくないからね。
※※※
和臣の家に行くと、島崎さんが出迎えてくれた。
「今日も、ドーナツなんですがいいんでしょうか」
『はい。私は島崎さんのドーナツ好きですよ。私の持参分もありますから。島崎さんも、よろしければ』
「いつもいつも、ありがとうございます。皆さん、書斎にお集まりですよ」
そう言われて、廊下の突き当たりにある書斎に向かった。
ドアを開けたとたんに、嗅ぎ慣れたいつもの匂いがした。
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華菜原 舞衣 - うわっ48分前っありがとうございます!楽しみにしてます。 (2020年5月27日 12時) (レス) id: 7aa09cf11b (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 華菜原 舞衣さん» コメントありがとうございます!前世ユズリ…お仕事でやっていたんです。前世譲りの知識やテクはこれからも登場します。楽しみにしていてくださいね! (2020年5月27日 11時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - ひーとさん» コメントありがとうございます!これからは黒木くんの謎がさらに深まるのか、夢主ちゃんが過去を話す日は来るのか、ご注目ください。これからもよろしくお願いします! (2020年5月27日 11時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
華菜原 舞衣 - 夢主の前世ゆずりのテクって・・・前世でもやってたってこと!?オソルベシ・・・更新、楽しみにしてます。がんばってください。 (2020年5月27日 10時) (レス) id: 7aa09cf11b (このIDを非表示/違反報告)
ひーと - 黒木くんの過去が良い感じに仲を深めましたね〜。めっさキュンキュンします。此れからも楽しみにしています。更新大変だと思いますが、頑張ってください! (2020年5月26日 1時) (レス) id: c8f6957e50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2020年5月20日 19時