438話 ページ42
貴和はそう言って、冴えた静かすぎる眼ざしで若武くんを見た。
「今回はパスだ。次元が低すぎる」
そう言って階段を降りようとするのを、服の裾を掴んで引き留める。
こちらを向いた貴和の目に、強く念じてから軽くうなずく。
貴和もふっと笑って、うなずき返してくれた。
降りていく貴和の背中に、もう一度念じる。
和典を、任せたわよ。
「おまえらも、そう思ってんのかよ」
若武くんの方をふり返ると、完全にフテくされた顔つきだ。
「だったら行っていいぜ。オレ1人でやるから」
立花さんと小塚くんが、顔をつき合わせてコソコソ相談し始めた。
私は階段の手すりを持ち、おそるおそるゆっくりと立ち上がった。
この感じ、やっぱり…。
「じゃ、状況を説明する。来いよ」
どうやら2人は協力する方向に決まったようだ。
立花さんたちが再びテーブルにつく。
私はテーブルのそばに立った。
「おまえ、座らないの？」
『ええ、大丈夫よ。説明をおねがい』
若武くんはうなずき、テーブルの上に人差し指で絵を描いた。
「ここが正門。
裏門は、その反対側。
裏庭っていうのは、裏門のあたり全体のこと。
このあたりはフェンスにかこまれていて、その向こうには、ちょうど裏庭に平行する形で真っすぐな道路がある。
ゴミが発見されたのは、道路ぞいの、ここ。
焼却炉と運動用具の入っている小屋の間で、ツタのからみついた杉の木が何本かあって、人目につきにくい所なんだ。
それでオレが、そのあたりの掃除をサボったって思われたわけ」
くやしそうに言った若武くんのズボンの後ろポケットで、携帯電話が鳴りだした。
「あ、ちょっとごめん」
若武くんは、私たちにそう言ってから携帯を取り出し、言葉少なに話して電話を切った。
「あのさ」
携帯から目を上げながら、私たち3人を代わる代わる見る。
「今、うちから電話で、ニュースで、市立博物館の収蔵品が盗まれていることがわかったって言ってるって」
市立博物館と言えば、秀明のすぐ近くだな。
「物騒だから、帰りには充分気をつけるようにって。アーヤも小塚も、気をつけなよ」
『私は？』
「言うだけ無駄だろ。むしろ相手が心配だ」
若武くんも、和典の思考に侵食されてきている。
「何が盗まれたの？」
若武くんは、首をかしげた。
「さぁ…」
小塚くんは、ますます落ちつきを失う。
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ライ(プロフ) - 「まず桜田の家で、東大の卒業生名簿を見た。浪人している可能性も考えて、前後の年代も見てみたけれど、望月孝太郎の名前はどこにもなかった。あの人は、東大を出てないね」 みんなは、うなずいた。 それは、保険証からも確認できている。の部分が重複してますよ！ (2021年3月26日 14時) (
レス) id: 65b1e4f8ab (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - manaさん» コメントありがとうございます！まだまだ拙いこの作品を気に入っていただけて嬉しいです。その応援を糧にこれからも頑張っていきます！ (2020年3月30日 18時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
mana - 私この作品大好きです！ものすごく面白いです！更新楽しみに待ってますので頑張ってください！応援してます (2020年3月30日 18時) (レス) id: ecb2e4c19d (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 透架さん» コメントありがとうございます！神作とまで言っていただけて本当に嬉しいです。これからも頑張っていくので、応援よろしくお願いします！ (2020年3月21日 13時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
透架(プロフ) - 最近kzの小説が減ってきてて漁りまくってたら神作に出会いました！！すごく面白いです！更新頑張ってください！！ (2020年3月21日 12時) (レス) id: 2be61dc08d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きょっちー | 作成日時：2020年3月20日 13時
