398話 ページ2
「助かるよ。名簿を手に入れる手間が省けた。オレはこのままフケるから、勝手に入らせてもらうよ」
『ええ、もちろん構わないわ。F1に入ってるから』
うちの書斎は本があまりに多いので、棚の段ごとに番号がふってあるのだ。
そこでわかれ、授業が終わってから家に帰ると、キッチンに夜食だろうおにぎりが置いてあった。
次の日の秀明の休み時間、休憩室に黒木くん以外のメンバーがそろった。
黒木くんはどうやら、学校にも行ってないらしい。
「黒木を待ってても、いつになるかわからないから始めよう。アーヤ、記録」
若武くんが言った。
「まず事件名だ。ニセ弁護士事件としよう」
誰も反対しなかったので、立花さんはノートにそう書いた。
「経過は、弁護士を名のる望月孝太郎が、じつは事務機器関係の会社員である可能性が浮上。ニセ弁護士という疑惑が生まれたため、この調査を開始した。で、どうだ」
異議なし。
「では、調査の報告に移る。弁護士会名簿の方は、どうだった」
私は首を横にふった。
『望月孝太郎って名前の弁護士は、いなかったわ。事務所が遠い可能性も考えて、範囲を広げてみたりもしたけど、それでもなかったわ』
若武くんと小塚くんが、顔を見合わせてうなずき合う。
「了解。じゃ、こちらの報告をする。小塚調査員、頼む」
若武くんに言われて、小塚くんが口を開いた。
「昨日、秀明が終わったあと、松本クリニックに行ってみた。
場所は駅前のビルの中で、近くには大倉商会の駅前支店がある。
あそこに望月孝太郎が勤めているとしたら、松本クリニックに足を運ぶのは自然だ。
クリニックの電気が消え、ビルの通用口から看護師が出ていくのをぁ確認してから、しのびこんだ。
万能キーオープンでドアを開けてね。
ろ最初に間取りを確認したんだけど、あの中、けっこう広いね。
奥にはサウナとか、寝室とかもあるし」
上杉が、ため息をついた。
「中で、暮らせるように造ってあるんだ。夫婦ゲンカして、おふくろが家出した時に使ってる」
半ばゆううつで、半ばあきらめたような顔つきだった。
そういうことが時々あるんだろう。
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ライ(プロフ) - 「まず桜田の家で、東大の卒業生名簿を見た。浪人している可能性も考えて、前後の年代も見てみたけれど、望月孝太郎の名前はどこにもなかった。あの人は、東大を出てないね」 みんなは、うなずいた。 それは、保険証からも確認できている。の部分が重複してますよ! (2021年3月26日 14時) (レス) id: 65b1e4f8ab (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - manaさん» コメントありがとうございます!まだまだ拙いこの作品を気に入っていただけて嬉しいです。その応援を糧にこれからも頑張っていきます! (2020年3月30日 18時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
mana - 私この作品大好きです!ものすごく面白いです!更新楽しみに待ってますので頑張ってください!応援してます (2020年3月30日 18時) (レス) id: ecb2e4c19d (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 透架さん» コメントありがとうございます!神作とまで言っていただけて本当に嬉しいです。これからも頑張っていくので、応援よろしくお願いします! (2020年3月21日 13時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
透架(プロフ) - 最近kzの小説が減ってきてて漁りまくってたら神作に出会いました!!すごく面白いです!更新頑張ってください!! (2020年3月21日 12時) (レス) id: 2be61dc08d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2020年3月20日 13時