第2章 ページ28
「明日の昼に中庭に来て、会わせてあげるから。あ、あと貴方の写真集も一緒に持ってきて」
そこまで言って、神憑は壁に立て掛けてあった鞄を肩にかける
そして、ドアの前に立つ緑間にも声をかけた。
「あ、緑間君もお疲れ様。今日は腰抜かさなかったんだね」
「なっ! あ、あれは尻もちをついただけだ!」
真っ赤な顔で否定する為、深くつつくのはやめた。
ドアの鍵を開け ドアノブを回した時
「あ、あの! ありがとう、お陰で助かったっス。」
そんな声にピタリと動きを止めて振り返る
「生きてて 良かったね」
ふっと笑って神憑は部屋を出て行った、
取り残された緑間と黄瀬は互いに目をパチクリさせた。
黄瀬もその後よいしょと立ち上がる
「緑間っち、助かったっス。ありがとう」
「ふん、貸し一つなのだよ」
と、眼鏡をぐいっとあげた。
素直じゃない そんな姿に黄瀬は笑いが溢れた。
それにしても、俺の肩に神憑さんが触って火傷した時の緑間っち‥
「俺、応援するっスよ。 手強そうっスけど」
「? 何のことだ?」
緑間は首を傾げた
「あ、司書さん この本ここのページだけ破れてるんだけど。 ほら、ここの大事なシーン」
「あらぁ、 本当。 預かっておくわ、 教えてくれてありがとう」
「いいえ」
「それにしても、Aちゃん。今日はお疲れ様」
司書さんには色々協力して貰っている為
さっきのことも丸分かりなんだろう。
「まぁね。 あ、もう一冊借りたい本があるんだ。すぐに取ってくる」
そう言って 並んでいる本棚へ向かい
目当ての本を探した。
確かこの辺に あ、見つけたこれだ。
手に取った瞬間 ガラッと図書室の扉が開く音がした
「なぁ赤司、本当にここにいるのかよ」
「図書準備室にそんな噂があるなんて知りませんでした」
「俺も実際に見たわけじゃないんだが‥」
自分のいる本棚を挟んで反対側を歩く団体の会話にため息を吐く
噂を信じて遊び半分で来られるのが
一番面倒なのよね
手に取った本を戻して司書さんにやっぱりいいですと、告げて図書室を後にした。
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作者名:杏子メロンパン | 作成日時:2019年3月14日 11時