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七話 ページ9

ひなたSIDE

その子を案内しようと思ったのはただの善意だった。

彼女が迷っているように見えたからだと思っていた。

最初は。

しかし、彼女に、藍香ちゃんに話しかけた瞬間、そんな考えはなくなっていた。

仮面のような笑顔、それが崩れて何とも幼い顔になる。

その時、俺の中で何かがはまったようなはずれたような、そんな音がした。

所謂ギャップ萌、だろうか。

まぁそんなことはどうでもいい。

普段ならゆうたくんと一緒にと考えるのに、そんなことは全く頭になかった。

藍香ちゃんを汚したくない、傷つけたくない。

俺だけのものにしてオカナイト。

気がつくと、勢いに任せて腕を掴んでいた。

藍香ちゃんが過呼吸気味に倒れなければ。

引きずらんばかりの勢いで連れて行っていただろう。

ひなた「だ、大丈夫?」

心配で顔を覗き込んだ。

藍香「ハァ・・・・・・大丈夫、です。時々こういった発作が起こるんです」

発作には見えなかったけど・・・詮索されたくないなら仕方ないかな。

嫌われたくはないしね。

さっきみたいにならないよう、隣を歩きたいという衝動を抑えながら、少し前を歩くようにした。

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作者名:エル | 作成日時:2022年9月29日 20時

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