夕暮れの疑惑 (ページ3)

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第２話転校二日目

「起立、気をつけ、礼。」
日直のやる気のなさそうな号令で皆が一斉に席に着く。５時間目が終わったのであとはホームルームの時間を過ごせば帰ることができるだろう。私の席は窓際なので今の季節は非常に気持ちいい日差しが降り注ぐ。なので眠気を堪えるのが大変だ。はやく帰りたいなぁと思いながら教壇で次の体育祭の種目について熱弁している委員長をぼんやりと眺めていた。すると、唐突に教室の扉が勢い良く音を立てて開いた。その瞬間女の子が教室に滑り込んでくる。
「すいません、遅刻しちゃいました！」
よほど急いで来たのか制服や首筋には汗がうっすらと滲んでいる。
「おい、もうすぐで学校終わりだぞ？」
と言う先生の一言で教室がどっと笑いに包まれる。自分が笑われているというのに女の子は教室の皆と一緒になって笑っていた。それを見て、すごくポジティブな子なのだろうなぁと思った。私なら羞恥でその場から逃げ出してしまうかもしれない。その後は特に何事もなくホームルームが終了した。チャイムが鳴り、帰り支度をしている時ふと、机の前に人がたっていることに気がついた。制服からして恐らく女の子だ。一体私に何の用だろう？ねぇねぇと女の子が声をかけてくる。声をかけてきた女の子はさっきの遅刻してきた女の子だった。
「あなたって転校生だよね？私、昨日は風邪で休んでて自己紹介が遅れちゃって…私、小松みさとっていうんだ！よろしく！」
小松みさとと名乗った女の子は人懐っこそうな笑顔を私に向ける。私もなるべく明るく
「よろしく、みさとちゃん。私は雪村Aっていうんだ。」
と自己紹介した。みさとちゃんと私は非常に馬が合うようでその後２時間半も教室でおしゃべりをしてしまった。いつの間にかお互いをみさと、Aと呼び合うような仲になっていた。「えぇー！外暗っ！もう６時半なの！？」
とみさとが言う。私も外をちらっと見て
「そうだね、そろそろ帰ろ！」
と言った。私達は住んでいる町が同じなので帰り道も同じだった。夜の初めのような薄暗い帰り道でみさとは思い出したようにある話を話し出した。
「ね、そういえばこんな怪談知ってる？」
「え、なになに？」
「うちの学校の怪談なんだけど、隣の校舎に使ってない家庭科室あるじゃん？そこにでるんだって！幽霊！」
「えー！なにそれ？詳しく聞かせて？」
私は怪談やらなんやらが割と好きなのでみさとに詳細を話すよう催促した。

毎回長文ですみません。汗