その人、沢村先輩の妹ですよ。【奥村光舟】

試合のおさらい。 ページ18

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「沢村、準備出来たよ」

いつの間にか渡辺さんの準備は整い、テレビにはスタンドから見える球場の映像が映し出されていた。

「ん！ふぁみふぁふぉう………っ…ございます！」

口に入れたおにぎりを含み、そして飲み込みながら渡辺さんにお礼を言うと、こちらに笑顔を振りまきテレビの前へ戻った。

「沢村先輩…もう試合のおさらいを…」

「杏ちゃん。ご飯取りすぎ」

隣でビニール手袋を付けた掌にご飯を盛っている杏ちゃんに冷静に突っ込むと、また食堂のドアが開いた。

「あ、」

ドアに視線を向けた兄ちゃんと私の声が重なった。

「……今日の試合、見るの？」

「降谷先輩……」

帰りのバスの中で今日の試合結果をクッキーとヒロに聞いたが、青道は最終回で1点を取り返したが、降谷さんの失投で取られてしまった得点を巻き返す事は出来ず、5対3で青道は敗れてしまった。

降谷先輩はあまり感情が表に出ないから、声色はいつもと変わらないが、きっと兄ちゃんの様にすぐ試合をおさらいするのは凄く勇気がいることだと思う。

「見る？」

兄ちゃんの誘いに頷き、2人は椅子を用意し座り込んだ。

「覚悟はいいか？これが現実だぞ。
流すぞ！あの惨状を」

「いいから早く！」

降谷先輩から立ち上っているオーラが少し威力が半減している様に見えたのは、傍で見守っている渡辺さんの微笑みのパワーのお陰か…。

「兄ちゃん！少し静かにしないとだよ！」

おにぎりを握りながらそう言うと、兄ちゃんは荒い鼻息を出しこちらに力強く頷くと画面が再生され、試合開始のサイレンテレビ越しから聞こえて来た。

本命？→←おにぎり爆弾！！

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