その人、沢村先輩の妹ですよ。【奥村光舟】

ランキング上位の2人。 ページ13

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「あ…」

こちらに気付いた佐々木さんと私の間に微妙な空気が流れると、急にドカドカと早足で向かってきた。

「ちょっと沢村さん！
どいうことよ！！！」

「な、なんの話でしょう……」

可愛い顔なのに、その悪者じみた表情で全部台無しだ。

佐々木さんの勢いに押され目を逸らせば、肩を捕まれ前後にブンブン振られまくる。

「とぼけなでよ！！
奥村君試合出てなかったじゃない！！
貴方知ってて教えなかったでしょ！？」

「そんなことない！！
てか激しい！激しい！いたたた！！！！」

首もげる！！もげるから！！
佐々木さんマジ恐怖！！やっぱ無理！！

でも知ってて教えなかったのは本当だ。
あれ、何で光舟君は出ないって教えて上げなかったんだろう。
そしたら佐々木さんに遭遇することはなかったんじゃ……。

「ちょ、落ち着いて…」

佐々木親衛隊の1人が止めに入り、佐々木さんの動きはやっと止まった。

フラフラ状態の私を後ろで見ていたであろう天久君が支えてくれる。

「女の戦い怖ぇ〜」

「あ、ありがとうございます…」

すると、もう1人の親衛隊がトイレから出てきた。
いつの間にって思ったが、もしかしたら佐々木さんの代わりにリップを探していたのだろうか。
なんていい人なんだ……。

「トイレには無かったよ。
ちゃんとポーチの中見たの？」

「もしかして、リップってこれ？
手洗い場に置いてたから…」

ポケットから例のリップを取り出しながらそう言うと、そう！これ！と私の手からリップを奪い取る。

大丈夫。傷も付けてないし、リップ付けてみてもないよ。
だからそんなにジロジロリップ確認しなくても…。

佐々木さんは安堵の息を吐き、大切に鞄からポーチを取り出しリップをしまった。

「で、沢村さんの後ろの方はもしかして彼氏さん？
彼氏がいるのに、奥村君と仲良くするなんて！」

「色々誤解してるよ！？
この人はさっき青道と対戦した市大三高のエース！」

「天久光聖で〜す」

名前カッコよすぎない？
光聖だって〜。

「てか沢村！
奥村って誰よ。ベンチメンバーにそんな名前のやついたっけ？」

「こう………奥村君はこれからなの！
絶対夏大で奥村光舟の名前を嫌でも聞くことになるんだから！！」

「俺が、なに？」

突然の登場に気にせず説明をするところだったが、隣の佐々木さんが小さく歓声を上げたからギリギリ踏みとどまれた。

「遅すぎ、沢村」

今会いたくない人ランキング堂々の1位。
奥村光舟君は少し息を切らしていました。

初めての尊敬。→←拡散なう。

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