追想-TUISOU-１０ Secretな彼女番外編 (ページ39)

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「卒業してから、私はとにかく必死だったんだ・・・
確実に将来を考える時間でもあって、でも約束の３年経っても兄の行方は分からず
翔とも完全ではないけれど、別れてしまって
私、なんのために必死になってきたのかわからくなっていたのね」

そう言って遠くを見つめる

「目的が・・・また無くなっちゃったていうか」

その顔は寂しそうだった

「でも、俺、ここに来た時、
ちゃんと付き合いなおそうって言ったよ
俺自身も・・・もちろん、悪かったと思ってるのと
自分自身の気持ちを正直に話したつもりだったんだけど？」

もう、今更どうにもならないことなのに
俺はどうしてこだわってるのだろうか

そう言うとリンはフっと笑い

「ちょうど・・・その頃、
おばあちゃまの具合が良くなくて
と言ってももういい歳だったし
そうなると、ますます家業の重圧が重く伸し掛かってきたんだよね
で、目的は変わってしまったけれど
せっかく3年かけて勉強して
資金を貯めてきたし、
ようやくこの土地を手に入れたの」

唇を軽くかんだリンを見る

でもそれじゃあ辻褄があわない
と、そう言いかけたとき

「その頃・・・
銀行で働いていた時に、
担当しているのに、1度も会ったことがないクライアントがいて」

俺を見るリン

「その人、たまに・・・
本当、たまに電話かけてくるのよ、
もちろん、仕事の話しかしないけれど、
でも、なんだか私のことを見透かされてる気がして」

「見透かされれる？」

「そう、彼とは会ったことがないのに
私のことなんでも知ってそうな気がして」

「は？男？
怪しすぎるだろ」

「あはは、そうい意味じゃなくて
まぁ、のちに、彼が精神科医だってことがわかるんだけど
まんまとカウンセリングされてたって訳」

「なんだよ、それ・・・
余計怪しいわ
で？その人が俺とつきあうなって？」

もう過去の話なのに
おれもバカだなと思いながらも少しムっとする

「あははは、違う違う
私がいろいろ当時抱えていた物が
少しずつ彼の中で組み立てられてたみたいで
そして、ある時私さ
本当にどうしたらいいのかわからなくなってしまった時があって、
その時、彼が電話越しにこう言ったの
「きみには荒治療が必要だ」って」