追想-TUISOU-１０ Secretな彼女番外編 (ページ38)

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「あはは、ほんと、さとみの一言が無かったら
今こうやっておいしいワインは作らなかったかも
で、その時から私はここに来ては土地を探したり
農家を回ったり、忙しくなった・・・
それに、土地や工場などを買うためには、資金も必要で
銀行に働いた私には好都合だったの、
自分で資金をある程度貯める期間もできたわけで」

・・・

「でも、どうして？
どうして別れたんだ俺ら？」

「・・・どこから話す？」

「ていうか、俺が聞きたいわ」

フーっと深く息を吐いたリン

「とりあえず、そこから3年必死に働いて、
ワイン作りの勉強して、
そして・・・
遠距離を続けてたわけなんだけど
でも、私も忙しくなった分、
翔も忙しくなっちゃったでしょ
会う時間も短くなるし
会っても身体だけになってしまうし
もちろん、それが悪いって思わなかったんだけど、
3年という猶予をもらっておきながら
結局探しても、兄は見つからず
すごく焦ってたんだと思う
それで、つい・・・
別れようって言っちゃったんだよね
本当幼いっていうかなんていうか」

そう言いながら、
自分の髪を撫で俺から目線を外す

「でも、
私の中では別れたいって言ったけど、
翔はいつものように聞き逃すんだって思ってたんだけどね
その時はそうはいかず、翔は別の子と付き合い始めるし・・・」

「あぁ、いやほんとそれな
ずいぶん前ににも話したかもだけど、
あれは俺の中でもかなり誤算だった」

「ふふ・・
結局2人でボタン掛け違えちゃったんだよね、
その時
今だから笑って話せるけど」

リンがボトルを持ち

「もうちょっとだけ飲む？」

と勧めてきたから、
俺も

「そだな
まぁ後は飛行機さえ乗れたらいいから、
あと少しだけ」

とグラスを傾ける

「でも、それでも俺はまぁ他に女がいながらも
リンとは会ってたんだけど、
リンもそれに応じて無かったっけ？」

「そう・・・
まぁ、昔のころだから、
ぶっちゃけた話、今なら話せるけど
すごく苦しかった・・・よ」

「言ってくれたら良かったのに」

「あはは、良いわけないじゃん、
彼女どうすんのよ」

「そうね」

そう言って大笑いする俺ら

「でも、俺さ一番納得ができないとこあるんだよ」

「あれでしょ？
ここに初めて来たときのことでしょ？」

「そう」

そうなんだ、
どうして、あの時俺はリンとやり直そうと思ったのに
リンは俺との別れを選択したんだ？

「あの時・・・」

そう言って目線を落とし
口をつぐんだ