追想-TUISOU-１０ Secretな彼女番外編 (ページ25)

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「翔？嵐過ぎちゃった・・・から
ピアス・・・翔がはずしてくれる？」

「え・・・」

「翔が開けてくれたピアス、
ずっと外すなよって言ったやつ・・・
ここで外さないとダメでしょ」

そう言って笑ったリン

俺は、窓をもう一度見る
でも、その光に嘘はなく

あぁ、やっぱりこれが現実なんだと

俺は起き上がり
そこに立ってるリンのところに行き
しゃがみ

10年前に開けたピアスを外した

そして、そこに軽くキスをした

「ちょっと」

そう言って避けたリンに

「違うよ、これは感謝の意を込めてだよ」

と笑った

実際は、本当に笑えてるかなんて自信なくて
俺はすぐさま

「シャワー浴びてくるわ」

とすぐに踵を返し
シャワールームに向かった
しばらくして
遠く、リンが出ていく音が聞こえた

自分の気持ちとちぐはぐな行動が
俺をやっぱり苦しめていた

でも、俺は熱めのシャワーを浴び
俺らが決めたことを心に言い聞かせた

もちろん、シャワーを浴びて出てくる時間なんて、
そんなに時間がかかるはずなく、
俺はその主がいなくなった家を歩いて回った

そして、玄関を出て
外を見ると

昨日の嵐は嘘のように
土埃さえも雨で押さえていたため
くっきりとボルドーの町を見下ろせた

丘からその町まで
地肌が見えたままの土で覆われており
よく見たら、
何かの苗木が植えてあるように見えた

「あぁ、ごめん。私の方が遅かった」

そう言って、横から来たリンが
俺に
紙袋を渡した

「気持ちいいね、せっかくだから、ここで食べる？」

そう言って俺に渡した紙袋を顎で指す

「ちょっと待っててコーヒーだけ入れてくるわ
そこのテラスで食べよ」

そう言って笑って部屋に戻る

俺は、そのテラスにあるベンチに腰をかけ、
リンに渡された紙袋を開けると

中にバゲッドのサンドイッチが入っていた

「本当に、俺ら別れたんだろうか・・・」

なんて、思いながら、
俺はその輝いた景色を堪能していた

そして、このあと、
このサンドイッチを2人でかじりながら
俺らは誓うんだ

その言葉を、3７になった俺は
このボルドーの地に立って思い出す

「翔、見てここからの景色。
今はまだ苗木だけれど、あと10年たてば
ここはボルドーでも有数なブドウ畑になる、
私の計画では市場に出回るくらいの美味しいワインが出来上がってて・・・
だから10年後、忘れてなければ会いに来て
今日、ここで私たちが決して間違ってなかったんだってこと
私・・・翔に見せるから」

って・・・・