追想-TUISOU-１０ Secretな彼女番外編 (ページ22)

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今思えば
この時少しでも、
リンの抱えていたものに気づいてあげていたならば、
もしかしたら俺の人生も、
リンの人生も変わったのかもしれない

でも、
まだ経験が浅く
若かった俺は
この時リンが抱えていたものに、
気づいてあげることはできなかった

「翔？
私さ・・・もう疲れちゃった・・・
だから・・・
一人になりたい
・・・ごめん」

そう言って嗚咽をあげながら
静かに続けてこう言った

「別れて・・・欲しい」

「・・・」

俺の背中をぎゅっと抱きしめながら、そう言ったリン

言ってることと、行動がチグハグのままのリンが
俺に震えて消えそうな声でそう伝えた

「最後に・・・」

俺自身もこれはもう、
これ以上は無理だろうと失望していたけれど

「何？」

と、自分でも驚くくらい、優しくリンに問い掛けた

俺と別れたいと言ったリン
その言葉に俺は耳を傾ける

「最後に」

そう言って、俺を見上げる

それはあの時とかわらない、
黒目がちな瞳で俺を見た

「この嵐が過ぎ去るまでは、もう１度・・・
翔の彼女でいさせて？
嵐が去ったら、
もう・・・」

俺は、それ以上言わせまいと

「わかった」

と言葉をかぶせ
そのままさらに強く抱き
そして、リンにキスをした

激しく何度も何度も

つきあって１０年
初めてキスをしたあの日から
何度目のキスだろう

あの時の俺は
こんな日が来るとは思っていただろうか

好きなのに
一緒にいることができない？

腑に落ちないこの苦しみが
キスの激しさを増す

それは別れの儀式というより
お互いの身体に思いを
刻み込むように
合わせ続けた

激しく打ち付ける
雨音をまるでかき消すかのように
俺はリンを求めた

そのまま、シャワーも浴びず、
リンの唇を何度も何度も合わせながら、
濡れた服を脱がせ
冷たいテラコッタの床に置く

テラコッタは、その水分を吸収していくけれど
俺はかまわず、
座ったまま
リンの首筋を這うようにキスを繰り返し

そのまま、ブラの肩ひもをゆっくりと指にかけ
その鎖骨に唇を這わせる