追想-TUISOU-１０ Secretな彼女番外編 (ページ21)

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でもこの時の俺は、
リンが何を考えているのかが全く見えず
なんて、答えたらいいのかわからなかった

俺は、泣き崩れて、しゃがみこんでしまったリンを抱きしめる

「意味わかんねえ、マジで
好きだけど、別れたい？
未来が見えない、だったら結婚したらいいじゃん
でも、そうじゃない
リン？俺どうしたらいいのか
マジで
わかんねぇよ・・・」

俺の中で泣きじゃくるリン
何年ぶりだろう、
こんなにリンが泣くのを見たの

ムリと言ったリンは俺から逃げることなく
逆に俺の背中に手を回しその手に力を入れる

打ち付ける雨が、
あの時のシャアシャアと鳴くセミの声にも似ていて
封じ込めたあの風景をも思い出させる

そうか
あの時も
リンは、こんなに泣いていたんだ
自分は穢れている、だから好きだけど、一緒にいれないって
自分を追い詰めた

そう・・・
リンは、そんな女だ

葛藤して、葛藤して

自分の気持ちと行動が異なっていくんだ

「リン？
ポルトガルに何かあるの？」

俺はゆっくり聞いた

そう、そもそも
それも突然のことだったんだ

急にどうしてポルトガルなんか・・・

「そこに、何か答えがあったから、
おまえは、わざわざポルトガルに行ったんだろ？」

リンは
黙ったままだった

俺の胸が熱く湿気を帯びる

きっとリンが俺から離れたい理由がそこにあるんだ

「逃げたかった・・・」

ようやく口を開いたリン

「俺から？」

「違う、自分の人生に、
現実から、少しだけ逃げたかった
ポルトガルで何かあるわけじゃ・・・
一旦、リセットされるかもって思っただけ
そうただ・・それだけ」

そう言って、俺をぎゅっと抱きしめた
それはまるで何かを俺に隠し、その嘘を自分で納得しているかのようだった