letter_10 ページ12
-Aside-
『うわぁー…なんて恥ずかしいことを書いてしまったんだ私はー…』
この間の手紙を思い出して、私は机へと項垂れていた。
“テツヤさんが出たら観に行きますからね！！”
って…。
いや、この文は気遣いなどではなく純粋に私の素直な気持ちがポロっとでて、書いてしまったことなのだが……。
……これじゃあまるで“好きな人を想って書いた手紙”じゃないか。
まぁ、その返事のテツヤさんからの手紙では“頑張りますね”みたいなことだったから良かったものの……。
………そういえば、ミステリー小説のことの話もしてくれて面白そうな本をたくさん紹介してくれたなぁ。
私の頬はまだ熱を持ったままだったが、気を紛らわせるために違うことを考える。
テツヤさんが紹介してくれたミステリー小説の中には、私が読んだことがあるものも含まれていた。
でも、それとは別に有名作家さんや新人さんの小説もいくつかあって、ミステリー小説をよく読むのかな……と考えたくらいに詳しかった。
読みたい小説もみつかったことだし、今度読んだ感想を手紙に書こうと思う。
………あとは、部活のことも。
あの後結局、私は美術部に入った。
吹奏楽も気になったのだが、楽器類にかかる費用が半端じゃない。
家計が苦しいわけではないが、これ以上祖母に頼るわけにはいかないし、最近バイトも始めたばかりで忙しくなりそうだったのでやめた。
……テツヤさんに部活の事とか、言いたいな。
なんだかんだ言って、すっかり“文通”が日常になり、自分自身もハマってしまったようだ。
私は書きたいことを頭のなかで整理しつつ、好きな曲をイヤホンで聴き始めた。
軽快なメロディが流れだす。
私はそのメロディに合わせて歌を口ずさみ始めた。
『___いつからだろう 君の笑う声遠く
幸せの終わりなんてあっけないものだね
数え切れない 涙もけだるい明日も
交わした言葉全て想い出にはさせない
君の笑顔取り戻す為
何度でも僕は歌を止めない
いくつもの夜を越え
この願いかなうその日まで
諦めていた 壊れかけた旋律を
拾い集めて もう一度魔法かけるの
君の笑顔取り返す為
いつだって僕は歌を止めない
流れる星に願う
この想い届くその日まで____』
彼女の透き通った声が響く。
そばには封筒と便箋とペン。
少女と少年の“文通”を通した出会いから一ヶ月半。
小さな窓からは初夏の空が青く澄んで絹のように光っていた。
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夜空 - なるほど…。明るいキャラを出すために使ったのですが、気になるポイントになるんですね…。参考になりました！これからはもう少し表現を変えてみようと思います！コメント、ありがとうございました！ (2015年4月26日 8時) (
レス) id: db1ba5d6d4 (このIDを非表示/違反報告)
リラ@占ツク1周年(サバ読み)(プロフ) - 面白いです！でも顔文字とか微笑みとか入れると私は気になるのでないともっといいかなと思います。上からでごめんなさい……。でも応援してます (2015年4月25日 12時) (レス) id: f00b686e9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜空 | 作成日時：2015年4月19日 9時
