鎖【月永レオ】【天祥院英智】 (ページ43)

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43. ページ43

「…わ、私の曲…？」

……なんで？
出てきた最初の言葉は、それだった。

「そう、おまえの曲。刺激をくれたお礼っ♪」

「けど、私なんかが貰っても…何も、生かせないですよ…？楽器も弾けないし、歌も歌えないし…」

「おれが勝手にあげたいって思っただけ。だからおまえは黙って受けとれっ！」

彼はそういうと、書き上げたのか…楽譜を私に渡してきた。

「殴り書きが嫌なら、ちゃんと清書するけど？」

「い、いえ。大丈夫です。…ありがとうございます、月永さん。」

……すごいものを、貰ってしまった。
将来、いろんなところで活躍するかもしれない彼に。

……私の為に、作られた曲を…貰って、しまった。
ぎゅ、とそれを握る。

「…一生、大切にします…！」

そういうと、月永さんはくす、と笑った。

「一生って、大袈裟だな～？こんなもん、いくらでも書いてやるのに。」

「…や…だって、私…こんなの貰うの、初めてで…本当に、ありがとうございますっ…！」

嬉しさで、心が満たされる。
私はそのとき、心の底から笑えた気がした。