鎖【月永レオ】【天祥院英智】 (ページ16)

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声の主は、すぐにわかった。

「英智さん？」

振り返って、彼の名前を呼ぶ。
すると、男の子がぴくり、と反応した。

「ここにいたんだね、探したよ。」

歩きながら、英智さんはこっちに向かってくる。

「すみません、図書室に本を返しに行ってて…」

そう、返しに行ってたのだ。この学院の図書室、色々あるから。
で、その帰りにこの男の子に会ったわけで。

「そうかい。お気に入りの本は……おや？」

「…？」

英智さんはそういいかけて…男の子に、目線をやった。
男の子は目も合わせず、ただひたすら楽譜に書いている様子だったけれど。

「やぁ、また会えて嬉しいよ。」

「…何の用だよ、『皇帝』？」

……男の子は…英智さんの、知り合いみたいだ。
けど、なんだろうか。この空気は。
息が、詰まりそう。緊張感が凄い。

「普通科の女の子と密会か？おれがこのこと誰かに話したらおまえ、終わりだな？」

「ふふ、君はそんなことしないだろう？……『王さま』くん…♪」

「……王さま、…！？」

……私が声を出すと、二人は私の方を向いてきた。
あわてて、口に手を当てる。けど、もう遅かった。