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もしかして、もしかしたら、ショートした頭。 ページ10

ばち、と目が覚めた時には、手が動かせないようになっていた。
足は何とか動かせそうだが、とてつもなく重い。

嫌な予感がした。せっかく逃げたのに。意味などなかった?

がちゃり、と扉が開く。
扉の前に立っていたのは――。


和成だった。


「あっれー?なんでAがここにいんの?」

まぁでもおかえり、と言う笑顔の君。


笑顔が怖かった。目が笑っていなかった。

「それからさ、何で男の家にいるの?あんなザキとかいうやつのところに。」

「あれはたまたま…!」

和成は僕のことを無視して話し続ける。

「何でご飯食べてるの?何であんな奴の前で泣いちゃうの?何でお弁当とか届けちゃってんの?」

目に見えるような怒り。嫉妬。こんなの、和成じゃない。

「あんな奴の近くにいちゃ、Aが汚れる。でも、もう大丈夫」

もしかして、もしかしたら。
この予感は当たっているかもしれない。
もしかして、もしかしたら。
今頃、ザキくんは。

もしかして、もしかしたら。

「俺が、【排除】してあげたからね」

弘は、もういない――――?

「ぁ、いや、だぁっ、ざ、ざき、が、い、ない、なんて」




「はぁ?」

低く、鉄のように冷たくて、鋭い声。

「何で?何でアイツが居ないと駄目なの?
あんなの、あんなの、Aに近寄ってくる害虫じゃねぇかっ!!」

すっ、と和成が手をあげる。
その手は僕の頬に当たる予定だった。

「なーんて、な?」

殴ってこなかった。絶対に殴られると思ったのに。

和成はだらん、と手をおろした。それから、僕の手首を握った。

通常の力じゃなかった。完璧に、折りにきていた。

「大丈夫だよ、Aはもう俺のお人形だから。俺の自由。
Aに自由なんて、ないぜ?」



ばんっ。

和成がそこまで言ったとき、誰かが扉を蹴破った。

「めんどくせー鍵付けやがって。入んのに手間かかっちまったじゃねぇか」

…花宮、クン?

「久しぶりですね、花宮サン、それに――瀬戸サン、でしたっけ」

「よく覚えてんな、2軍当て馬にしてやったのに?」

ガッ、と手首を握っていない方の手で、みぞおちに肘鉄を食らう僕。

「っぁ、ぅえ、っぷ」

やばい、吐く。何とか止めたが、気持ちが悪いのに変わりはない。

「は、っは、っくぁ、っは」

嫌な汗がしたたり落ちる。僕は床に頭をつけ、丸まった。
それでも気持ち悪さは変わらない。


何でこいつらはここにいる?
何をしに来た?
わからなかった。頭がショートしそうだった。

譲れない不幸者と悪魔な天使、それと疑問符。→←月曜日のお弁当、すみませんの言葉。



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霧崎沙流@天ぷら系女子(プロフ) - [忘却王]れおさん» 面白かったですか…。とても嬉しい限りです。こちらこそ、この作品を最後まで読んでくださりありがとうございます。 (2014年3月29日 22時) (レス) id: 212878b2bc (このIDを非表示/違反報告)
[忘却王]れお(プロフ) - 完結おめでとう。すごく面白かったです。終わらせ方も好みでした。ありがとうございました。 (2014年3月29日 22時) (レス) id: 8ad14d2c12 (このIDを非表示/違反報告)
霧崎沙流@天ぷら系女子(プロフ) - ★黒猫★さん» コメントありがとうございます!更新頑張ります! (2014年3月20日 18時) (レス) id: 212878b2bc (このIDを非表示/違反報告)
★黒猫★(プロフ) - 続きが気になります.更新がんばってください! (2014年3月20日 16時) (レス) id: a547ed74fa (このIDを非表示/違反報告)
★黒猫★(プロフ) - 続きが気になります.更新がんばってください! (2014年3月20日 16時) (レス) id: a547ed74fa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:霧崎 沙流 | 作者ホームページ:http://yaplog.jp/kirisaki73/  
作成日時:2013年7月19日 21時

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