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一番の安全策に涙と笑顔。 ページ8

「ほら、飯。」

「ありがとう」

僕は今、弘――もとい、ザキくんのお家に来ている。

「…なぁ」

「何?僕がなんで雨の中走ってたか?ある人から逃げるためだけど。」

なんでわかるんだよ…と呟かれたのは聞こえないフリ。

聞こえないフリをして、ザキくんがくれたごはんを黙々と食べ続ける。
おかしいな、こんなにお米って美味しかったっけ?

高尾クンが、食べさせてくれなかったからかもしれない。
僕自身が拒絶していたからかもしれない。

和成、怒ってるかなぁ。
きっと怒ってる。怖い怖い。

……しょうがない。ザキくんのお家に住もう。
一番の安全策がそれしか思いつかない。

「ねぇ。」

「ザキくん」

「んだよ」


「少しの間でいいから、」



「僕を居候させてくれない?」


「ぇ」

驚いた顔で固まる君。

そりゃそうだろう。
急にこんな事言われて思考回路がバグってるんだ。きっと。

はぁ、とため息を吐かれる。
僕はその後の返答に驚いて固まった。

「ま、いーけど…。」

まさか。

いいのか、こんな僕を居候させて。
不便極まりないよ?と、僕は付け足す。

「別に…。不便とかそういうんじゃなくて、さ。
困ってんだろ?それなら助けねぇといけねぇだろ。」

そう言って、僕の髪をわしゃわしゃ、と撫でる君の手のぬくもり。



すごく落ち着いたんだ。
そして安心した。お前はここにいる、と教えてくれてるみたいだった。
もういない両親に似ていたから?
それとも、この感覚が久しぶりだから?

二つの目からなぜか溢れ出す水滴。
焦るザキくん。

その光景が、なんだかとても可笑しくて。

泣いてるのに笑っている僕を見て、
ザキくんも笑っていた。


可笑しいね。
なんでこの時気付かなかったのか、僕は後々後悔し始める。
偶然と必然の歯車は止めれそうにもないスピードで廻りはじめた。

もう 止めることは 不可能 です。

月曜日のお弁当、すみませんの言葉。→←逃走、雨、頭を打って星を見る。



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霧崎沙流@天ぷら系女子(プロフ) - [忘却王]れおさん» 面白かったですか…。とても嬉しい限りです。こちらこそ、この作品を最後まで読んでくださりありがとうございます。 (2014年3月29日 22時) (レス) id: 212878b2bc (このIDを非表示/違反報告)
[忘却王]れお(プロフ) - 完結おめでとう。すごく面白かったです。終わらせ方も好みでした。ありがとうございました。 (2014年3月29日 22時) (レス) id: 8ad14d2c12 (このIDを非表示/違反報告)
霧崎沙流@天ぷら系女子(プロフ) - ★黒猫★さん» コメントありがとうございます!更新頑張ります! (2014年3月20日 18時) (レス) id: 212878b2bc (このIDを非表示/違反報告)
★黒猫★(プロフ) - 続きが気になります.更新がんばってください! (2014年3月20日 16時) (レス) id: a547ed74fa (このIDを非表示/違反報告)
★黒猫★(プロフ) - 続きが気になります.更新がんばってください! (2014年3月20日 16時) (レス) id: a547ed74fa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:霧崎 沙流 | 作者ホームページ:http://yaplog.jp/kirisaki73/  
作成日時:2013年7月19日 21時

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