ケンカと天才による石に躓いたときの回避方法 ページ21
がちゃん。
ドアの開閉音で、目が覚める。
君はそれを予想していたかのように、僕の頭に手をのせた。
「おはよ。」
瀬戸くんだ。おはようとか言ってるけど今お昼だからね。
「おはよ…。なんで頭撫でられてるの?」
「いや…別に。特に意味はないかな」
むー、と唇を尖らせる。
子ども扱いされてるように思えて仕方がない。
ぺし、と手を払いのける。
「子ども扱いしないでよ、天才」
そしたら君は、少しイラついた表情を見せた。
「…子ども扱いなんかしてねぇよ、掠れ少女」
おいこら、さすがに僕でも怒るぞ。
何だよその呼び方。言いにくいにもほどがあるぞ天才。
口を開こうとしたら、君の方が先に声を発した。
「ていうか、さ。俺が天才だったら花宮はどうなんだよ」
言われてみれば、そうだ。
花宮クンは瀬戸クンを上回る天才の天才である。
「じゃあ瀬戸クンが秀才にランクダウンかな」
「なんか地味に傷つくわ、それ…。」
「でも天才の天才っていうのも疲れるし?」
そうだな、とあくび混じりにかえされる。
ふわり、と背中に暖かさが伝わる。
どうやら瀬戸クンがもたれてきているようだ。
がさがさ、と袋を探る。あ…お菓子のストックが切れてしまった。
買いに行かなきゃ。ばっ、と立った後に、瀬戸クンのことを思い出した。
「いっ…てぇ」
君は、とん、と背中を床に打ち付けたみたいで。
「あー、ごっめん。僕、お菓子買いに行くけど……来る?」
「行く…。」
「瀬戸クン、これ買ってー」
「やだ」
「買ってー」
「やーだー」
ぶぅ、と頬を膨らましてみる。
ついでに、瀬戸クンの背中をぽこぽこ殴る。
「おい…止めろって」
「じゃあ買ってよー」
ふう、とため息を吐かれ、手に持っていた雑誌を奪われる。
まるで、ぽい。なんて効果音がつきそうなくらいに、雑誌はカゴの中に吸い込まれる。
「わぁい、ありがとー」
買い物を済ませて、店から出ようとした。
その瞬間だった。
ガッ、と出入り口付近の石に躓く。
「うわっ………!」
このままじゃ、前にいる瀬戸クンにぶつかってしまう。
だが、今頃足に力を入れても…こけるだけだ。
ごめんねー、瀬戸クン。
全ては石のせいだから。こんなところに石があるのが悪いんだよ。
恨むんだったら石を恨んでくださいね、本当に。
瞼に暖かさがのる。
何だと思って目を開けると、瀬戸クンの首が見えました。
キスされた、って理解できたのは数秒後。
【瞼へのキスは、憧憬の意味】
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霧崎沙流@天ぷら系女子(プロフ) - [忘却王]れおさん» 面白かったですか…。とても嬉しい限りです。こちらこそ、この作品を最後まで読んでくださりありがとうございます。 (2014年3月29日 22時) (レス) id: 212878b2bc (このIDを非表示/違反報告)
[忘却王]れお(プロフ) - 完結おめでとう。すごく面白かったです。終わらせ方も好みでした。ありがとうございました。 (2014年3月29日 22時) (レス) id: 8ad14d2c12 (このIDを非表示/違反報告)
霧崎沙流@天ぷら系女子(プロフ) - ★黒猫★さん» コメントありがとうございます!更新頑張ります! (2014年3月20日 18時) (レス) id: 212878b2bc (このIDを非表示/違反報告)
★黒猫★(プロフ) - 続きが気になります.更新がんばってください! (2014年3月20日 16時) (レス) id: a547ed74fa (このIDを非表示/違反報告)
★黒猫★(プロフ) - 続きが気になります.更新がんばってください! (2014年3月20日 16時) (レス) id: a547ed74fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霧崎 沙流 | 作者ホームページ:http://yaplog.jp/kirisaki73/
作成日時:2013年7月19日 21時