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秀才と凡人のなぞかけ。 ページ16

「おい」

頭がくらくらする。ガンガンする。気持ち悪い。吐き気がする。
体が熱い。火照っている。寒気がする。ゾクゾクする。

「おい…聞いてんのか?」

がし、と頭をつかまれる。おいこら痛いだろ。

「…痛いんですが」

「ふはっ、知るかよ!…んで?体調は?」

見てわからないのか秀才が。

「最悪。」

だろうな、と花宮クンが呟く。

「……ねぇ、花宮クン」

「食べても食べてもお腹はいっぱいにならなくて、
持とうとしても持てないもの、何だと思う?」

ちなみに答えは、

「空気」

言われた、か。

「それじゃあ、目に見えないときがあるもの、何だと思う?」

「……。」

あ、考え出した。

何分くらいで答えが出るだろうか?
楽しみだな。
数分がたち、花宮クンが口を開く。

「あぁ…。そういうことかよ」

「わかった?じゃあ答えをどーぞ。」



ぐい、と体を引き寄せられ、目を真っ直ぐ見られる。
それから一息つき、君はこう言った。


「お前、だろ?」

イタズラっぽく笑う君に、なんだか力が抜けた。

「…せーかい」

「そうだ。ねぇ、今は見えてるの?消えてる?掠れてる?それとも――


いない?」


体調を崩してから、自分の体に異変が起きた。
吐いたりするたびに、自分の欠片と思われる何かが消えていく。
存在する意味。それがだんだん崩れて、消えて……最後にはサヨナラかな、なんて。

今まで生きてきちゃって、こっち側の世界に執着したのはこれが初めてだったか?
ずっとあっちの世界に行きたくて行けなくて、もどかしい気持ちが溢れて狂って。

離れたくなくなった。大切な人がいる、それだけで。


「相変わらず左手と右腕、それと腹に左目、だな」

「左目、見にくくなってたりしねぇの?」

言われてみれば、最近左側でぶつかったりすることが増えた気がする。

「見にくいかな。それよりも、浸食されすぎやありませんかねぇ?」

「バァカ、気の持ちようでもちったあ変わんだろ?」

そこのコントロールが一番難しいんだよね、なんて、他愛もない話をし続けた。



消えることが怖かった。
自ら消える事とは違う、恐怖。
どくん、どくん、と心臓は血液をまだ送り出している。
ここが動いている間はものすごく安心するのに。



僕が消える日は、刻一刻と近づいてきました。

消えたら戻らない部位。→←持てなくて、キスをする。



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霧崎沙流@天ぷら系女子(プロフ) - [忘却王]れおさん» 面白かったですか…。とても嬉しい限りです。こちらこそ、この作品を最後まで読んでくださりありがとうございます。 (2014年3月29日 22時) (レス) id: 212878b2bc (このIDを非表示/違反報告)
[忘却王]れお(プロフ) - 完結おめでとう。すごく面白かったです。終わらせ方も好みでした。ありがとうございました。 (2014年3月29日 22時) (レス) id: 8ad14d2c12 (このIDを非表示/違反報告)
霧崎沙流@天ぷら系女子(プロフ) - ★黒猫★さん» コメントありがとうございます!更新頑張ります! (2014年3月20日 18時) (レス) id: 212878b2bc (このIDを非表示/違反報告)
★黒猫★(プロフ) - 続きが気になります.更新がんばってください! (2014年3月20日 16時) (レス) id: a547ed74fa (このIDを非表示/違反報告)
★黒猫★(プロフ) - 続きが気になります.更新がんばってください! (2014年3月20日 16時) (レス) id: a547ed74fa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:霧崎 沙流 | 作者ホームページ:http://yaplog.jp/kirisaki73/  
作成日時:2013年7月19日 21時

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