十話。 ページ12
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…訂正、デートなんて可愛いもんじゃなかった。
私が乗るのはタクシーでもバイクでもなくまさかの自転車のかご。
想像以上に動けんじゃねーか。
…まあ別にさとみくんと一緒なら嫌ではないけど…。
「着いたよー」
さとみくんはそういって自転車を止めた。
白っぽくてそれほど大きくもない建物だ。
中に入って、受付をする。
…動物病院って独特のいい匂いがするのね。
なんか、癒される匂い。
鞄の中だからよく見えないけど、さとみくんは椅子に座ったらしく、
鞄も安定した。
「あれっ?なーくん?」
さとみくんが声を上げる。
え?
なーくんって、うちのクラスの委員長のななもり?
「あっ、さとみくん、やほ。…その子は…新しい子?」
「うん、Aって言うんだー」
なーくんも動物飼ってるのかな。
「なーくんとこは…あ、ぽむちゃんだー」
さとみくんがそう言って、私が入った鞄を動かした。
おい、ちょっ、揺れんだろ。
でも動いたおかげで「ぽむちゃん」の顔が見れた。
なんか雰囲気がなーくんに似てる気がする……気のせいか。
ぽむちゃんは寝ているから、会話はできなかった。
「へー、Aって言うんだねー、よろしく」
…え。反応が普通すぎない?
今は死んでるかもしれないけど、元クラスメイトの名前だよ!
なんでそんな「ふーん」って感じなのよ。
え、なに?私忘れられてる?え、悲し…。
「黒猫なんだねー」
なーくんはそう言いながら鞄越しに私の首元を撫でた。
くっ、不覚にもちょっと心地いい…!
「ぽむちゃんは?どこか悪いの?」
さとみくんがなーくんにそう聞くと、なーくんが撫でるのをやめた。
あ、おい。もうちょい撫でても良いんだぞ!!
「定期ワクチンだよー。Aちゃんは?」
「拾ってきたばっかだから、とりあえず見てもらおうと思って」
「そっか」
うう、受付時間が近づいてくるのが怖い。
何されるの私!
なにより注射が嫌だわ。
「お次でお待ちのななもりさまー」
診察室から出てきた看護師さんがなーくんを呼んだ。
なーくんは席を立って、診察室に入る。
…てか思うんだけどさ、医者とはいえ知らない人間に
体を見られるとか触られるとか嫌なんですけど。
女の人なら良いな…女でも嫌なもんは嫌だけどね。
なーくんが入っていた隣の診察室から「さとみさまー」と名前が呼ばれる。
おいおいマジか。
医者、おっさんじゃねーかよ。
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影の黒鷺 - 絵宙(えそら)さん» ユーザー認証…私が見るときには出てこないんですけど…どうなんでしょう。こちら側としては設定していないので、運営さんのバグですかね…。運営さん…(´;ω;`) (2020年5月26日 16時) (レス) id: 4d7a8fb4ac (このIDを非表示/違反報告)
絵宙(えそら) - ユーザー認証が必ず出てくるんですが私だけですか…?(´ ; ω ; `) (2020年5月26日 10時) (レス) id: 63faa5bcfc (このIDを非表示/違反報告)
ゆら(プロフ) - 影の黒鷺さん» 私の小説も読んでくださってたんですね!とても嬉しいです泣 これからもお互いがんばりましょーね! (2020年4月11日 14時) (レス) id: 7e1be6dd9a (このIDを非表示/違反報告)
影の黒鷺 - ゆらさん» そんな風に言っていただいて本当に感謝しかないです…!私もゆらさんの小説が大好きでいつも見させていただいております。応援ありがとうございます、励みになります(*´ω`*) (2020年4月10日 22時) (レス) id: 4d7a8fb4ac (このIDを非表示/違反報告)
ゆら(プロフ) - 黒鷲さんの作る小説って、キャラ設定がしっかりしているうえに、それがブレちゃわないところがすごいと思います。。。夢主ちゃんのツンデレな性格がとても可愛いんだけど、さとみくんと気持ちがすれ違っちゃうともどかしくなっちゃいますねwこれからも応援してます!! (2020年4月10日 21時) (レス) id: 7e1be6dd9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:影の黒鷺 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kagenokurosagi/
作成日時:2020年4月3日 15時