二十九話。 ページ31
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チュンチュン。
鳥の鳴き声と共に私は目覚めた。
まだ右頬には彼からのキスの感触が残っている。
__って…。
いやいや、そんなロマンティックな朝ではございませんでした。
そうっすね。
目覚めたらもうさとみくんは学校に行ってて、気づけば一人。
え、私の乙女心無視されました?
酷くね?女子高生の初キスを奪ったくせになんつーことだよ。
『Aちゃん、昨日、二人きりの夜はどうだった?』
私がリビングまで行くと、どことなくニヤニヤしたみみちゃんに声をかけられた。
マジ?計画的犯行?
ま、まあいい感じだったけども。
『そうですね、特に何にもなかったです』
『ウソ、何もなかったらそんなにニヤニヤしないよ』
なっ、ニヤニヤしているのは私!?
ニヤニヤなんて…別に…してないんですっ!
『本当に何もなかったですってー。みみちゃんこそニヤニヤしてどうしたんですか?』
『え?昨日、わざわざ二人きりにしたんだけど…何もなかった?』
みみちゃんがそう言った。
何もなかった…そう、何もなかった!!
あれはっ!さとみくんが勝手に…。
私は別に望んでたわけじゃなんだけど、されたから受け入れただけ!
『まあいいよ、恥ずかしかったら話したくないよねー』
みみちゃんがそう言って立ち去った。
ひなさんはお兄ちゃん、みみちゃんはお姉ちゃん、モカちゃんは友達。
私にとってペットたちはそんな存在だ。
人間の時は一人っ子だったから、きょうだいみたいなみんなの存在はすごく新鮮なのよね。
だから、私の結婚相手が神社を継ぐ予定だったのよ。
さとみくんが神社かー。どうなんだろう…。
でもさとみくんは真面目だからどんな仕事もやってくれそう。
ええ、私とさとみくんが結婚している前提ですけど何か?
私はそう思いながらご飯を食べた。
前はマジで嫌いだったけど、なんか口が慣れたって言うか、
なんというか今は何とも思わないな…。
ついに体が人間を忘れてきているのか…。
それにしても…なんだろう…。
昨日の残骸が凄いんですけど。
一応ポップコーンとかは、私達が食べちゃダメって言うさとみくんの気遣いで
片づけてあるんだけどゲーム機は散乱、カーペットはぐちゃぐちゃ。
おい、何があった。
少しは片付けなさいよ、もー。
私は猫だから片付けられないけど、人間だったらブチ切れてますよ?
神社の娘だから、汚れてるのは苦手なの。
そう思って、私はまた二度寝した。
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影の黒鷺 - 絵宙(えそら)さん» ユーザー認証…私が見るときには出てこないんですけど…どうなんでしょう。こちら側としては設定していないので、運営さんのバグですかね…。運営さん…(´;ω;`) (2020年5月26日 16時) (レス) id: 4d7a8fb4ac (このIDを非表示/違反報告)
絵宙(えそら) - ユーザー認証が必ず出てくるんですが私だけですか…?(´ ; ω ; `) (2020年5月26日 10時) (レス) id: 63faa5bcfc (このIDを非表示/違反報告)
ゆら(プロフ) - 影の黒鷺さん» 私の小説も読んでくださってたんですね!とても嬉しいです泣 これからもお互いがんばりましょーね! (2020年4月11日 14時) (レス) id: 7e1be6dd9a (このIDを非表示/違反報告)
影の黒鷺 - ゆらさん» そんな風に言っていただいて本当に感謝しかないです…!私もゆらさんの小説が大好きでいつも見させていただいております。応援ありがとうございます、励みになります(*´ω`*) (2020年4月10日 22時) (レス) id: 4d7a8fb4ac (このIDを非表示/違反報告)
ゆら(プロフ) - 黒鷲さんの作る小説って、キャラ設定がしっかりしているうえに、それがブレちゃわないところがすごいと思います。。。夢主ちゃんのツンデレな性格がとても可愛いんだけど、さとみくんと気持ちがすれ違っちゃうともどかしくなっちゃいますねwこれからも応援してます!! (2020年4月10日 21時) (レス) id: 7e1be6dd9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:影の黒鷺 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kagenokurosagi/
作成日時:2020年4月3日 15時