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マイキー、俺の秘密を教えてやる。
イザナは俺のすぐ目の前まで顔を近づけて、楽しそうにそんなことを言った。
『真一郎は俺の思う、"理想の兄"になってくれなかった。
そして、お前の部下が殺しちゃった…だから、決めたんだ。
俺はお前を"灰"にして、"
……だから、早く空っぽになれよ』
正直なことを言えば、イザナが何を言っているのか俺にはわかんなかった。なにいってんの?お前。って感じ。
でも、俺がそれを言うより早く、イザナの蹴りが飛んでくる。
『お前が全て奪ったんだよ、万次郎!…だから、
だから、俺は、お前も殺す。』
息を着く暇もないペースでイザナの蹴りが飛んでくる。
『マイキーくん!!』
『ば、バケモンか…!?黒川イザナ……!』
『どーしたマイキー!?テメーの本気はこんなモンか!?』
イザナの拳には迷いがない。
これ以上やったら危ない、のリミッターがないから、全力で全てを叩きこんでくる。他人に興味が無いから、ある種遠慮がない。
人を殺せる拳だ。
今にも飛んでいきそうな意識を慌てて掴んで、次の衝撃に備える。
『おいおい!マイキー!!マジかよ?これがお前の実力か!?
ほんとに殺しちまうぞ!?』
『他人にキョーミがねー、かぁ』
なんか、かわいそーな、やつ。
『お前の為に戦った仲間も、か?』
『俺のために戦った!?…はは、ちげぇよ。俺が怖ぇーから、戦ったんだ。
ガキのままごとと一緒にすんな!』
イザナの脚が脇腹に飛んでくる。さっきと比べて、少し遅い。
『天竺にあるのは恐怖と利害のみ!』
頭を狙った拳を受け流す。
『信頼や友情なんて、実のない幻想だ』
ぶん、と、俺の顎先を掠めたイザナの爪先。
確実に、イザナの動きは鈍くなってきていた。
『お前は、どこまで自分を
イザナがぴく、と肩を揺らして僅かに動揺したのが分かる。
『……真一郎もエマも死んだ。唯一のマナカも行方不明。
お前も、孤独だろうが!!』
今度こそ、イザナの蹴りを受け止めた。
『……違うよイザナ。お前にはまだ、
さっきまでぎゅっと小さくなっていたイザナの瞳孔がす、と落ち着いていく。
…いつか、シンイチローが俺に言った、『もうひとり、兄貴が居たらどうする?』ってはなし。あれ、イザナのことだったんだね。
『……イザナ、俺はお前を救いたいんだ』
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作者名:亜秀 | 作成日時:2022年2月6日 20時