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…場地は幼馴染。じゃあ彼女は俺の何なんだろう。


一緒になって遊び回った訳じゃないし、喧嘩し合った訳でもない。バイク乗り回していた訳でもないし、東卍のメンバーってわけでもない。
 

ただ、小学生の頃の俺のことを知ってて、兄貴の大切な彼女。


美人で優しくて、兄貴より年下だけど俺よりは年上。
バレエ習ってるからか知らないけど仕草がキレー。
兄貴がバイクを直してる間、『よく分からないけど…』ってにこにこ笑いながらいつも隣にいた。

ケンチンも場地も三ツ谷も一虎もパーちんも。みんな彼女に、何故か懐いてた。彼女は、人を惹き寄せる魅力のある人だった。

そんな優しいひとだったから、兄貴が死んだとき真実を伝えてあげられなかった。

ただでさえ兄貴の死でぼろぼろなのに『兄貴を殺したのは、一虎だったんだ』なんて。それこそ追い打ちをかけちゃう気がした。ケンチンたちも言うなって、そうしろって言った。
だから何とか、隠し通した。
そんで、兄貴の墓の前で代わりに俺が守るからって約束した。

みんなと、約束したのに。
 

藤宮まなか。


マナカちゃんと急に連絡が取れなくなったのは、兄貴が死んで、そろそろ2年になろうとしている頃だった。

 
『ねぇーケンチン。マナカちゃんと連絡取れるー?』

『急だな』

『1週間前にメールしたのに、返信こない』

『ダイガクセーは忙しいんだろ』

『いままではいくら遅くても、3日そこらで返信きてたしー』
 
ごめんね、お返事遅くなって。と律儀に件名のところへそう書いてくれるようなひとなのに、まだこない。
 
『マナカちゃんのバ先行ったら会えるかな』

『あー行ってみるか?こっからなら近いし』

『うん。いく。後ろ乗せてー』

『仕方ねえな』
 
 

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作者名:亜秀 | 作成日時:2022年2月6日 20時

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