364、遠く感じる ページ18
あの後、杏奈と別れたAは泣き疲れふらふらと宿舎の廊下を歩いていた。
ベルナルドのこと、それにアツヤから言われたことが頭から離れなくなってしまった。
＿＿＿俺が不安になるようなことすんな！俺から離れんじゃねーよ！何でずっとそばにいてくれねーんだよ！！
アツヤがあんな風に思っていたなんて。知らない間に不安にさせてしまっていたなんて。
＿＿＿兄貴のような離脱者は出したくねえ。
以前アツヤはそう言っていた。こんなことを言えば本人は怒るだろうが、アツヤは何だかんだで寂しがりなんだと思う。仲間を失うことを何より嫌う人なのだろう。
お兄さんがいなくなってしまった今、アツヤが少しでも寂しい思いをしないよう面倒を見る、そう決めたのは私なのに。
明日人を捜すためとはいえ、悪いことをした。
部屋に戻る前に頭を冷やすべく夜風にでも当たろうと思い、外に出る。
しばらく歩いているとベンチに誰か座っているのが見え、その人物もAに気づいた。
「氷浦？何してるの？」
「A…！」
何やらぼんやりしていた氷浦だった。
「…星見てたんだ。Aは？」
「星？」
見上げれば星空が広がっていた。
今まで下ばかり見ていたから気づかなかったが、ここの星もとても綺麗だ。
「…私もそうしようかな」
氷浦と綺麗な星を見ていれば、ごちゃごちゃしている頭の中がスッキリしそうな気がする。
癒しを求め、Aもベンチに腰を下ろす。
氷浦は今でも星を見るのが好きなのかな。まあ私も好きだけど。
「こうしてると昔を思い出すね」
「……そうだな」
…うん。やっぱり氷浦といると落ち着く。たとえ会話なんて無くてもさ。
そうしみじみ思っていると、氷浦が突然こんなことを口にし出した。
「……A、俺さ…」
「？」
「最近、Aが遠く感じるんだ」
「……え？」
そんなことを言われるとは思ってもみず、氷浦に視線を移すA。
「アツヤが来てから…いや、もっと前からかもしれない」
氷浦の方はAと目を合わせようとせず、空を見上げたまま。
「遠く感じるって…どうして？そんなことないと思うけど…」
「…だって…俺たちが一緒にいる時間も、前に比べると少なくなってるだろ？」
…言われてみれば、大会が進んでいくにつれて話す機会も少なくなっているかもしれない。
「…世界に来てるんだから、そんな呑気なこと言ってる場合じゃないことはわかってるけどね」
そう言って、氷浦は力無く笑みをこぼした。
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飛鳥 - いちいちパスワード認証がでるのですか？なぜですか？ (2020年3月25日 22時) (
レス) id: 5955d179f7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 沙希子さん» あたたかいコメントありがとうございます！最近更新が遅れ気味で大変申し訳ございません。最終回に向けてこれからも更新を頑張っていくつもりですので楽しんでいただけると幸いです。 (2019年11月17日 10時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
沙希子(プロフ) - 更新焦らず頑張ってください!続き凄く気になります。 (2019年11月17日 6時) (レス) id: 03fe093666 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - そそそさん» コメントありがとうございます！1番ですか！？とても嬉しいです！ありがとうございます！！更新が大幅に遅れてしまい大変申し訳ございません。これからも頑張りますのでよろしくお願いします。 (2019年10月23日 18時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
そそそ(プロフ) - 今まで見たイナアレ小説の中で1番おもしろいです。更新楽しみにしています！ (2019年10月23日 10時) (レス) id: 924231b153 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年9月29日 21時
