363、怖かった ページ17
一人残されたAはしばらく呆然と立ちすくんでいた。
アツヤがあんなに怒っているなんて思わなかった。
私がアツヤを信頼してないわけないじゃん。
…でも、ごめん。私に何があったかなんて、とても誰かに話せたものじゃないんだよ。
(ベルナルドさんと、あんなことがあっただなんて…)
頭にこびりついて離れない。ベルナルドにされたことが。それらを思い出しては、カァッと顔が赤くなる。
昔のあの人とはまるで別人で。
そう考えると、やはり悲しくなってくる。
「…A、大丈夫？」
アツヤとのやりとりの最中にたまたま通りかかっていたらしき杏奈。心配そうにAの顔を覗き込むと、ぎょっとした。
Aから涙が溢れていたから。
「A…！？」
「………っ」
唇を噛み締め静かに涙を流すA。
「だ、大丈夫よ！アツヤくんはAのこと心配してただけで、本当に怒ってたわけじゃないと思うし…！」
杏奈は必死に慰めようとする。
杏奈の目にはAが深い悲しみに満ちた涙を流しているように見えた。それはAが失恋して泣いていた時よりも、ずっと悲しい涙だ。
「そんなに気に病むことないわ」と、杏奈は優しく言ってくれる。
…でも。
「ち、違うの…」
「…え？」
この涙の理由は、アツヤだけじゃない。
「…うっ……あ…」
今まで声を抑えて泣いていたが、次第にぼろぼろと大粒の涙が溢れてくる。
「うわぁあああああん…！！」
たまらず、杏奈に抱きつき泣きじゃくる。
こんなに恐怖が溜まっていたんだと、自分でも驚いた。ずっと気を張っていたから今頃ぶり返してきたのだろう。
私、みんなの前ではいつも通り振る舞えてたのかな…
変なところ、なかったかな…
これ以上みんなに心配かけたくないのに。
「どこか痛いの！？何があったの！？」
杏奈が背中をさすりオロオロしながら聞いてくるが、Aは嗚咽が出るばかりでうまく言葉が発せない。
Aは今の光景を陰から数人に見られているとも知らず、 しばらく大泣きしていた。
…怖かった。
優しいあの人はどこに行っちゃったんだろう。
次ベルナルドさんと会った時何を話そうとか、どんな話を聞かせてもらえるかなとか…そんな楽しいことばかり考えてたのに…こんなことになるなんて。
何一つ分かってなかったんだ。
オリオン財団のこと、フロイのこと…
何より…ベルナルドさんのことを。
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飛鳥 - いちいちパスワード認証がでるのですか？なぜですか？ (2020年3月25日 22時) (
レス) id: 5955d179f7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 沙希子さん» あたたかいコメントありがとうございます！最近更新が遅れ気味で大変申し訳ございません。最終回に向けてこれからも更新を頑張っていくつもりですので楽しんでいただけると幸いです。 (2019年11月17日 10時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
沙希子(プロフ) - 更新焦らず頑張ってください!続き凄く気になります。 (2019年11月17日 6時) (レス) id: 03fe093666 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - そそそさん» コメントありがとうございます！1番ですか！？とても嬉しいです！ありがとうございます！！更新が大幅に遅れてしまい大変申し訳ございません。これからも頑張りますのでよろしくお願いします。 (2019年10月23日 18時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
そそそ(プロフ) - 今まで見たイナアレ小説の中で1番おもしろいです。更新楽しみにしています！ (2019年10月23日 10時) (レス) id: 924231b153 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年9月29日 21時
