キセキとラノベ 5 ページ8
*
「……だから……っておい!聞いてんのかよ!」
喚きに喚き散らした少年が、こちらの反応を見た時に、彼女は小さくため息を漏らした。
「確かに、そうと疑われても仕方の無い状況だったかもしれませんが、私は別段、その為にここへ来たわけじゃありません。……そこは一度、理解して貰えますか?」
「……じゃ何であんなへりに行ったんだよ」
「そこが一番日当たりが良くて。特等席なんですよ、良く屋上に来るので。定位置が決まっているだけです」
「……空、見てたのは」
「単純にいい天気だなと。朝から気持ちが多少沈んでいたので、その気分も空を見上げたら晴れるかと思った次第です」
「…………、おい」
「はい」
私の弁解を聞きいれた彼は、それからじわじわとその顔を赤く染め上げ、顔を逸らして告げる。
「……誰にも言うなよ、これ……勘違いだったし、……恥ずいだろ」
「言いませんよ、授業サボっているのに」
飄々と告げた彼女に、青峰は不思議そうな顔をした後に携帯を開いて時間を確認した。
途端、その顔から赤が引き、青くなっていった。
「あ゙っ、一時間目始まってんじゃねぇか!!」
「えぇ。あなたも仲間なのでは?」
彼女の問いかけに、青峰はガシガシと頭を掻きながら反論した。
「結果的にそうだけど違ぇよ!!俺はただ、朝練終わってちょっと眠かったからここに来ただけで……授業にはちゃんと出るつもりだったっつーの!!」
「では今からでも向かったら良いのでは」
「無理に決まってんだろ!!俺のクラスの一時間目、数学だぞ!?
「あぁ……でも、サボった方が恐ろしいのでは?後から呼び出されて出される課題を減らすには出向いた方がいいとも思いますけど」
あれだけ彼女を必死に引き止めた少年の面影は消え、年相応に慌てる少年に、今度は彼女が諭すように言葉を投げる。
「あー……それより問題は赤司と虹村サンだろ……またサボってんのバレたらドヤされんだよ……」
自業自得でしょう、と言う言葉を、彼女は寸で我慢した。
無闇に人を追い詰めるのは良くない。彼女の母の教えが、今だけは青峰を救ったのだった。
*
192人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
西谷彩香(プロフ) - おは朝信者ならぬ虹村信者さん» コメントありがとうございます!この物語に出てくるラノベはあくまで私考案のオリジナルのものなので、架空のものになります! (2017年6月14日 20時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
おは朝信者ならぬ虹村信者 - ラノベってうってんのかな? (2017年6月14日 19時) (レス) id: c944dad363 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - 鳴神花音さん» はい、多分次世代でも波乱を起こすのはお決まり、赤司家かと思われます。次世代主人公の彼女も、今後ともよろしくお願いします! (2017年5月15日 3時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
鳴神花音(プロフ) - 西谷彩香さん» テンションの高いあの人の子供でもあるらしいですからね。キセキとの絡みも楽しみにしています。赤司とか。 (2017年5月14日 21時) (レス) id: 7a206e086e (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - 鳴神花音さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!淡々と返す主人公は娘にあまり受け継がれはしませんが…主人公のそれをかのれからも生かして行けるように頑張ります!ありがとうございました! (2017年5月14日 20時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時:2015年10月11日 22時