僕はただ、7 ページ8
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三月とその父親は、その日から赤司家で面倒を見ることになった。
無駄に有り余っていた部屋、財。なんら問題は無かったが、父親の方が申し訳ないだとか恩返しがしたいだとか言い始め、まぁそれならと赤司グループの会社に僕の父からの口利きで働き始めた。
確かにあの人は仕事の出来る人らしい。
そして、そんな人の娘である三月もまた、有能だった。
そんな三月らと同居が始まって、もう二週間は経つだろうか。
「三月」
「三月って呼ばれるの不愉快です」
「……敬語にならなくてもいいじゃないか」
「何度言っても三月って呼ぶのをやめてくれないからです」
「……すまない、三月」
「ほら、三月って呼ぶじゃないですか!」
三月は、"三月"と呼ばれるのをひどく嫌っていた。
僕が三月と呼べば、三月は顔を顰めて「名前で呼んでいいから三月って呼ばないで」と初めは言っていたものの、敢えて"三月"と呼び続けていたら、三月は敬語を使い始めた。
恐らくは、"違和感があるだろ、私が敬語使ってるの見たくないだろ!"なんて言う頭の弱い考えがあったからだろうが。
しかしその姿は最早生き写しとも言えようほどで、僕としてはそんな三月を見ているのが自分の心に安定をもたらしていることを自覚していた。そんなわけで、しばらく三月と呼び続けて敬語を使う三月を相手にしていた。
「何で三月って呼ぶの、やめてくれないんですか」
「その顔に、その口調。僕の好みだから」
「……っ、敬語なんて辞めてやる!!」
「それが良いよ」
「て言うかいい加減にしてもらえるかな!誰に似てるのか知らないけど!その人を私に重ねて私に接するの!」
「何だ、バレていたのか」
「バレないとでも思ってたの!?私そこまで馬鹿じゃないから!」
「それくらい騒がしい方が君らしいよ」
「私らしいって何……!?」
三月をからかうのが、日々の楽しみになっていた。
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西谷彩香(プロフ) - QOOさん» コメントありがとうございます。原作のストーリー沿いだったこともあり、全くと言って良いほど描かれなかった赤司様視点で書くのはなかなかに難しかったですが、そう言っていただけで光栄です!ありがとうございました。 (2018年3月29日 9時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
QOO - やっぱり誠凛VS洛山の試合は感動ものですよね・・・思わず泣いてしまいました。征君が夢主ちゃんに惚れたのもわかるような気がします。とても面白かったです!!これからも頑張ってください!! (2018年3月29日 8時) (レス) id: 5adcb33c47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時:2018年2月9日 19時