僕はただ、30 ページ31
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一瞬怯みかけた高尾は、それでも不敵に笑って切り返す。
「……そりゃどーも。まぁ?赤司サマならそれだけで俺に話しかけてくるとは思えないけど」
「……流石、カンは鋭いじゃないか。宣戦布告に来たんだよ」
「……真ちゃんじゃなくてか?」
「あぁ、君に。……聞いたよ、君はあの棚倉Aの恋人らしいね」
「よく知ってんな、あんまり人に言ってねーのに」
「まあ、彼女の事なら大抵知っているつもりだよ。それで何だが…」
ニヤリと笑って見せた。
「この試合で僕は、
「……は、?」
「知っての通り、僕は彼女が好きだ。愛してると言ってもいい。彼女にも、この大会が始まった時に言ってあるよ。もし、僕が勝ったなら僕のものになれ、……ってね」
いつ付き合い始めただとかは知らないし興味もない。
だが、僕は先約なんだ。
そんな思いも込めて放った一言は、効果絶大だった。高尾は額に青筋を立て、僕を睨みつけ、地を這うような低い声で告げる。
「……どんな約束してようと俺には関係ねーけど……Aちゃんの彼氏は俺だから。俺を壊したところで、赤司サマに仮に憎悪の視線を向けたって、Aちゃんの心は揺らがない。何があったって、何をしたって。アンタのとこには行かねーよ」
そう言って顔を上げた高尾は、僕を馬鹿にしたように鼻で笑った。
……あぁ、いけないな。
僕が、感情的になるなんて。
思わず、普段のポーカーフェイスも浮かべた微笑も崩れ去った。
彼と同じように、僕の額にも青筋が浮いているのではないだろうか。
彼と対峙して、彼氏だと宣言されて、それでもなお、僕は彼女を欲する。
仕方ない。何せ、これが僕の勝利以外の唯一の欲望なのだから。
「……後悔させてあげるよ、僕に喧嘩を売った事をね……」
あぁ、彼には存分に味わってもらおう。
何より残酷な方法で、高尾も、彼女も、絶望させてあげようじゃないか。
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西谷彩香(プロフ) - QOOさん» コメントありがとうございます。原作のストーリー沿いだったこともあり、全くと言って良いほど描かれなかった赤司様視点で書くのはなかなかに難しかったですが、そう言っていただけで光栄です!ありがとうございました。 (2018年3月29日 9時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
QOO - やっぱり誠凛VS洛山の試合は感動ものですよね・・・思わず泣いてしまいました。征君が夢主ちゃんに惚れたのもわかるような気がします。とても面白かったです!!これからも頑張ってください!! (2018年3月29日 8時) (レス) id: 5adcb33c47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時:2018年2月9日 19時