僕はただ、22 ページ23
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中学時代、情報収集能力に長けた桃井がマネージャーとして奮闘していた。
今ではその選手の未来の予想まで言い当てる程に目が育ったとは風の噂で聞いていたが……神奈がそう言う目を持っているとは思えない。
独学で、ただただ己の頭でだけで、全てを処理して纏めてきたのがこのノートだとするならば。
「…………神奈」
「な、何」
「こんな力を持ってして、何故選手などやっている?」
「……え?……や、だって私動いてる方が好きだし、それに、祖父母に何も言われず打ち込めたのがバスケだったし、……何か?」
「……いや、もういい。お前は引き続き情報収集に徹しろ。試合経過、結果、注目選手はおいおい全て僕から連絡するから、お前はそれを纏めていろ。その他は自由にしていていい」
僕の言葉に神奈が驚いたような顔をして数秒固まり、それからぱっと花の開いたような笑みを浮かべ、「ありがとう!」と言った。
「……ただし、明日の試合観戦は共に来い。全てはその後からだ」
「分かった、良いよ」
すんなりと僕の言葉に返事した神奈に若干戸惑いを覚えつつ、軽いミーティングを終わらせ、その日はホテルに戻った。
翌日、陽泉対誠凛の試合の観戦に行くと言えば、「その試合だったの!?良かったー」と神奈が騒いでいた。
スタンドに入ってすぐ、誠凛が入場して来ていた。
しかし入る直前だろう、彼女が己の携帯を手に取り耳に当てる。次の瞬間、その顔が面白いくらいに青ざめ、一番後ろを歩いていたらしい、キセキの集合の時に付いてきていた火神じゃない方に何かを告げ、そのまま会場を走り出て行った。
「……神奈、彼女の後を追え」
「言われなくてもそーするつもりだったけど!行ってきまーす」
僕の声に間髪入れず返した神奈は、すぐにスタンドを出、彼女を追って走って行った。
「……え、赤司、神奈ちゃん何処行ったの?」
「彼女を追わせた」
「えー!俺、その棚倉ちゃん?見てみたかったのに!レオ姉もそうでしょ!?」
「そうね。……残念だけど、仕方ないわ」
二人のそんな声を聞きながら、入場して来る陽泉の姿に、会場は熱を増し始めていた。
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西谷彩香(プロフ) - QOOさん» コメントありがとうございます。原作のストーリー沿いだったこともあり、全くと言って良いほど描かれなかった赤司様視点で書くのはなかなかに難しかったですが、そう言っていただけで光栄です!ありがとうございました。 (2018年3月29日 9時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
QOO - やっぱり誠凛VS洛山の試合は感動ものですよね・・・思わず泣いてしまいました。征君が夢主ちゃんに惚れたのもわかるような気がします。とても面白かったです!!これからも頑張ってください!! (2018年3月29日 8時) (レス) id: 5adcb33c47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時:2018年2月9日 19時