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優しい人 17 ページ18

*








結局、強制的にフランスへと飛ばされた彼女が戻って来たのは、彼女を空港で見送った2週間後だった。

家で1人創作活動に耽っていた時、バタバタと音が聞こえたかと思えば、直後に真ん中の扉が開かれ、彼女が飛び込んで来た事で帰って来たことを知った。



「先生ー!」



元気よく僕を呼びながら突撃して来た彼女を、慌てて抱きかかえる形で支える。少し恥じらった様子を見せた彼女は、それから居住まいを直して僕に向き直った。



「ただいまです、先生!」


「おかえりなさい、Aさん」



僕の言葉に彼女は一瞬ピタリと動きを止め、少し顔を赤く染めた。



「…どうしたんですか?」


「い、いえ、その…すごく、家族みたいだなって」



今度は僕が顔を赤らめる番だった。

こんなに初々しい気持ちは、学生時代にも味わうことは出来なかったもの。


そんな事を考えているとは欠片も思っていないだろう彼女が僕にカメラを差し出した。



「先生の部屋に、プリンターってありますよね」


「ありますけど…旅行先で何を撮って来たんですか?」


「印刷してからのお楽しみ、です。先生にもお裾分けしますね。インスピレーション湧くと思いますよ?」



カートリッジ代は後でお支払いします!と笑って早速プリンターとカメラを接続する彼女を見ながら、僕はふと、「愛しい」なんて思いが膨らんでいることに気づく。

愛しい、なんて、そんな感情。

昔赤司くんや黄瀬くんが言っていた、そんな感情は友人やそう言った関係ではない人に向けるなんてありえない、という言葉を思い出す。


嗚呼、そうか。

それなら、僕は、彼女を超えて…。



「……ようやく、ですかね」



小さく呟いた言葉は彼女には届いていなかったようで。

不思議そうに、首を傾げて僕を振り返る彼女を、思わず抱きしめそうになったその衝動を抑えつけた。





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西谷彩香(プロフ) - もみおさん» コメントありがとうございます!今作は、長く黒子が報われない物語を書いていたので、どうにか救いたいと思い書いていました。そう言っていただけて嬉しいです、ありがとうございました! (2017年10月19日 6時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
もみお(プロフ) - 少し遅くなりましたが完結おめでとうございます!!この小説思ってた以上に奥深かったんですね、、、だからこんなに面白い作品なんだなっと実感しました!!次回作も楽しみにしております! (2017年10月19日 4時) (レス) id: f58ea7ee52 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - もみおさん» 結構好き勝手書くタイプなので、そう言っていただけるのは嬉しいです!お気に入り作者まで登録してくださってるんですね!ありがとうございます! (2017年9月16日 17時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
もみお(プロフ) - 西谷彩香さん» よかったですwwww西谷さんの小説の書き方?や設定が好きなのですぐ読んじゃいました!!ちなみにお気に入り作者にも登録してあります(ドヤァ (2017年9月16日 17時) (レス) id: f58ea7ee52 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - もみおさん» コメントありがとうございます!大丈夫です!少女の憂鬱シリーズの一つなのでネタバレはセーフです!ありがとうございます、更新頑張ります! (2017年9月16日 17時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/  
作成日時:2017年9月16日 13時

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