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小さな箱。4 ページ5

*








呆然と立ち尽くすオレに気づいた周りが、「黄瀬くんだ!」と囲み始める。

オレはそれを適当にあしらいながら彼女が去って行った方を見つめる。


どうして興味を持ったのかとか、もうどうでも良かった。

ただただ、思い通りにならなかったことが悔しかった。



「黄瀬くんと同じ学校とか嬉しすぎ〜!」


「あぁ……うん、」


「黄瀬くん、この前の雑誌見たよ!カッコよかった〜!」


「あぁ……ありがとうっス」


「また黄瀬くん載ってたら買うね!」


「あぁ……うん、」



心ここに在らずな返事を返すオレが言うのも何だけど、そんな返事しかしないオレ囲んで、それでいいのかって感じだ。

それでも、オレはモデルとしての自分も、バスケ選手としての自分も、大事にしたいと思っていたのをぼんやりと思い出す。

こんな所で、「黄瀬涼太」の看板に泥を塗る訳にはいかない。


オレは上を向いて息を吸って、大きく吐き出した。

それからオレを囲む子達に営業スマイルを浮かべて見せた。



「応援ありがとうっス!でもここだと周りの迷惑になるっスよ?これからオレはここに通うし、出来れば普通の高校生活送りたいんで、あんまり騒がないで貰えると嬉しいっすね!」



オレの言葉に従順に返事したその子達はオレを囲むのをやめた。

あぁ、この子達は扱いやすい。

馬鹿だなんだと言われるオレだけど、いくらなんでも何年も前からこんな感じだ、いい加減なんとなくわかるようになる。

それに、こうして遠回しに「やめろ」と言っても通じず、オレを囲っていた帝光中の子達よりよっぽどマシだ。


そう思いながらようやく人の輪から解放されたオレは校門を出て、ゆっくりとスマホを弄りながら道を歩く。


あ、桃っちから連絡来てる。

『青峰くんが入学式サボろうとしてたから迎えに行ったのに、全然出てこないせいで私も遅刻しちゃったんだよ!青峰くん酷いよね!』


オレはクスリと笑って『青峰っちだからしょうがないっスよ〜。桃っちは優しいっスね?ちゃんと迎えに行くなんて』と返す。

直後、『むっくんと同じこと言う!』とすぐに返信が来て、オレはまたクスクスと笑った。









*

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設定タグ:黒子のバスケ , 黄瀬涼太   
作品ジャンル:恋愛
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西谷彩香(プロフ) - kirakirahikaru0さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけるととても嬉しいです!元々4年前に書き上げた作品でしたが、未だこうして誰かに見て貰えるというのはありがたいです。本当にありがとうございました! (2019年6月20日 5時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
kirakirahikaru0(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございます!!最後はうれしくて泣いてしまいました。 (2019年6月20日 1時) (レス) id: 094bc50104 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - ミリイ(灰崎信者)さん» コメントありがとうございます!この作品のリメイク更新も進んでいないので、終わり次第考えたいと思います。ご意見ありがとうございました! (2019年4月27日 19時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - 祥吾様の小説も書いて欲しいです (2019年4月27日 17時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - イチゴ・オーレさん» ありがどうございます!これからもよろしくお願いします!良ければ、他作品もご覧下さい! (2015年10月18日 11時) (レス) id: b540071b0b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/  
作成日時:2015年9月26日 22時

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