難しい。3 ページ37
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結局緑間とはクラスまで同じ、席は自由だったから窓際の一番後ろに座った緑間の前を陣取り、俺はもう一度「よろしくー」と軽く挨拶をかまし、「……あぁ」と答えた緑間を見てへらりと笑う。
「なぁなぁ、緑間って何て呼べばいい?」
「知らん。勝手にすればいいのだよ」
「勝手に?」
「あぁ」
「マジで?」
「しつこいのだよ……」
「おっけー、じゃあ勝手に呼ぶわ!真ちゃん♪」
「……おい」
「だって真ちゃんが好きに呼べって言ったしー?」
そんな軽口の末、俺はちゃっかりと仲良くなり、緑間から真ちゃんへ格上げ、そしてオリエンテーリング終了後、「入部届けはどこに出すのだよ」とか言い出した真ちゃんに、「入部届け出せんの明日からだっての」と笑った。
それから俺は「じゃーね真ちゃん!」と手を振って、自転車に股がって学校を後にする。
俺の自転車は折り畳み式の自転車と、もう一台普通のママチャリがある。だから二台持ってるわけだけど、基本動くのに便利だからと折り畳み式を普段使ってた。
……が、Aを送るためにママチャリで来ていた俺は、朝、Aを送った駅まで自転車を飛ばし、そこに自転車を置いて電車に飛び乗った。
確か、Aはここから3駅先の駅で降りてるはず。そこからが一番最寄りだったと記憶していた俺は、その駅で降りて10分程度の距離だとナビが言うから、その通りに向かった。
校門前に着くと、まだ門の中は学生で溢れていた。見る限りアレ。あの、部活勧誘。新入生っぽいのより多く見えんのは気のせいかー、とか、秀徳はこれ系は怪我人が出て危ないとかで無いんだよなー、とか考えながら、門の前で待っていた。
しばらく待っていると、人混みに見慣れたポニーテールが見えた。
「A〜!」
出来る限りの声を出せば、Aも俺に気付いたようでパタパタと近付いてくる。
……Aが人混みに苦戦する中、俺はその更に後ろへと視線を飛ばす。
……キセキの世代、黄瀬涼太。
なんだよアイツ、あんなに必死に目で誰追ってん……。
そこまで呟きかけて、俺の思考は一気に冷めていき、一瞬パチリと目が合ったその時に、俺は気付いてしまった。
思わずクスリと小さく笑うと、黄瀬涼太は人混みに姿を消した。
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西谷彩香(プロフ) - kirakirahikaru0さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけるととても嬉しいです!元々4年前に書き上げた作品でしたが、未だこうして誰かに見て貰えるというのはありがたいです。本当にありがとうございました! (2019年6月20日 5時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
kirakirahikaru0(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございます!!最後はうれしくて泣いてしまいました。 (2019年6月20日 1時) (レス) id: 094bc50104 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - ミリイ(灰崎信者)さん» コメントありがとうございます!この作品のリメイク更新も進んでいないので、終わり次第考えたいと思います。ご意見ありがとうございました! (2019年4月27日 19時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - 祥吾様の小説も書いて欲しいです (2019年4月27日 17時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - イチゴ・オーレさん» ありがどうございます!これからもよろしくお願いします!良ければ、他作品もご覧下さい! (2015年10月18日 11時) (レス) id: b540071b0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時:2015年9月26日 22時