難しい。2 ページ36
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平坦な道を、Aを後ろに乗せて一気に駅までの道を進み、どうにかギリギリ間に合いそうだと言う電車の時間に間に合わせることが出来た。
着いた途端にひらりと後ろから飛び降りたAが、「ありがとう!また後でね!」と去って行くのを見送って、改めて思考に落ちた。
基本、誰を相手にしてもまぁまぁ物静か、と言う印象を与えるAが、唯一子供のように無邪気に接してくれる相手が俺だった。
当然、身近な存在がそんなだったから、俺がAに惹かれるのはよもや必然で。
気付けばAのことを好きになっていて、男のくせに女々しいと思われるかもしれないけど、これでも十年前からの片想いだ。
……まぁ、そうは言ってもただの片想い。想いを伝えたことはない。いつかは、この想いを伝えたいとは思ってるけど、今の関係を壊す事になる、という一点でずっと言えずにいた。
俺ってこんな臆病だっけな?なんて思いつつ、駅のホームに消えたAの後ろ姿を追うのをやめ、自転車を飛ばして新天地へと向かった。
秀徳高校___俺が入学した先に、やはり居た。
帝光中出身、緑間真太郎。
俺の、俺達の敵。
Aを泣かせてくれた、最低野郎。
だけど俺は最初から突っかかること無く、穏便に初対面を過した。
へらりと笑って、「あ、あんた緑間じゃん!帝光中の!あ、俺高尾和成!俺、帝光中とバスケで当たった事あるんだけどさぁ、覚えてねぇ?」と話しかける。
緑間はさして興味無さそうな顔をしていたはずが、俺を見た途端眉をぴくりと動かした。
「…………あの時の、PGか」
「……へ?……あ、覚えてんの!?」
「赤司ともまた違う"目"を持った奴だと、覚えていただけなのだよ」
「へー!覚えてんだ!?帝光って遊びで心折ってくるタイプの狂人ばっかだと思っててさー、ごめんな?てっきり俺なんか忘れてると思ってたわ」
「有能なプレイヤーを忘れ、警戒しないなど愚の骨頂なのだよ。……それと俺は狂人ではないのだよ」
「あっは、まず否定すんのそこなんだ!?」
初めに持っていたはずの緑間への「最低野郎」ってレッテルは直ぐに剥がれ落ち、悔しいけど、こいつがこれからのチームメイトかと思うと、柄にもなくワクワクしている自分がいた。
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西谷彩香(プロフ) - kirakirahikaru0さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけるととても嬉しいです!元々4年前に書き上げた作品でしたが、未だこうして誰かに見て貰えるというのはありがたいです。本当にありがとうございました! (2019年6月20日 5時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
kirakirahikaru0(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございます!!最後はうれしくて泣いてしまいました。 (2019年6月20日 1時) (レス) id: 094bc50104 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - ミリイ(灰崎信者)さん» コメントありがとうございます!この作品のリメイク更新も進んでいないので、終わり次第考えたいと思います。ご意見ありがとうございました! (2019年4月27日 19時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - 祥吾様の小説も書いて欲しいです (2019年4月27日 17時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - イチゴ・オーレさん» ありがどうございます!これからもよろしくお願いします!良ければ、他作品もご覧下さい! (2015年10月18日 11時) (レス) id: b540071b0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時:2015年9月26日 22時