小さな箱。27 ページ28
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オレの言葉にきょとん、と言う効果音のつきそうな顔をしたかと思えば、Aは不思議そうに言う。
「何で私の両手が空いてないとリョウが困るの?」
「へっ!?……や、て……そ、そうっスよ、手、繋げないから!ね!」
慌てて手をパタパタと動かして誤魔化しに入ったオレに、ほんの少しだけ訝しげな表情を浮かべたA。
これ以上変に怪しまれて勘ぐられる前に動くのみだ、とオレはこの話の最中でAの手から離れていた荷物を引っ掴んで、空いてる方の手でAと手を繋ぐ。
「ほら、行くっスよ!」
「まっ、リョウ!」
あぁ、もう。これでも最近まぁまぁ評価してもらえる役者になってきたと思ったのに、どうしてAの前だと上手くいかないんだろう。
そんなことを思いながら、同時に、「ほんとにオレ、余裕ないなぁ」って改めて実感した。
オレ達が向かったのは、いつも通りオレの家。
だからまぁ、オレは戻ってきた、って言うべきだけど。
この高セキュリティマンションは、赤司っちの厚意で住ませてもらってる。
黒子っちもそう言えば、ここからそんなに遠くないマンションにいたはず。それも、赤司っちの厚意で。
今は……そう、今は確か、年下の恋人がいるんだっけ。会ったこともないし、名前も知らないけど、赤司っちヅテに「いる」ってことは聞いてた。
まぁそれは今は置いとくとして。
「荷物……ありがとう」
「トーゼンのことをしたまでっスよ!てか、オレがやりたくて勝手にやってるだけっスから」
「……高校の時は私がマネージャーでサポートしてたから……なんか、調子狂うよ、やっぱり」
「そりゃ、あん時は"選手とマネージャー"と兼業だったけど、今は"恋人"じゃないっスか」
「そうなんだけど……」
「はいはい、難しいこと考えんの終わり!それよりオレのこと見て、オレのこと考えて欲しいっス!」
遠距離恋愛の時間が長かったせいか、Aは以前にも増してオレの言葉で簡単に照れて顔を隠してしまうようになっていた。
そんな姿も可愛いなぁ、とほぼ無意識で舌なめずりしていたらしく、怯えられて丸一日拾ってきたばかりの野良猫並の警戒心を見せ、容易に近づけなかったのは流石に堪えた。
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西谷彩香(プロフ) - kirakirahikaru0さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけるととても嬉しいです!元々4年前に書き上げた作品でしたが、未だこうして誰かに見て貰えるというのはありがたいです。本当にありがとうございました! (2019年6月20日 5時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
kirakirahikaru0(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございます!!最後はうれしくて泣いてしまいました。 (2019年6月20日 1時) (レス) id: 094bc50104 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - ミリイ(灰崎信者)さん» コメントありがとうございます!この作品のリメイク更新も進んでいないので、終わり次第考えたいと思います。ご意見ありがとうございました! (2019年4月27日 19時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - 祥吾様の小説も書いて欲しいです (2019年4月27日 17時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - イチゴ・オーレさん» ありがどうございます!これからもよろしくお願いします!良ければ、他作品もご覧下さい! (2015年10月18日 11時) (レス) id: b540071b0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時:2015年9月26日 22時