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小さな箱。26 ページ27

*








時は流れて22歳。

大学に進学した同級生達が卒業し、その例に漏れず卒業したAが、今日東京に戻って来る。

正直、この数年間。

Aと会う機会はオレの仕事が軌道に乗ったことで全て阻まれ、会うことすらままならずに過ぎ去った。


それもこれもマネージャーの手腕によるものだけど、Aに会え無さすぎて何度マネージャーを呪いかけたか。

と言うか、多分ちょっと呪ってた。足の小指タンスの角にぶつけろとか。


そんな生活ともようやくおさらば。

オレはとある経緯から事務所を出て、陽泉高校出身のセンパイ、福井さんが設立した事務所に移籍。

で、今のマネージャーは誠凛高校出身のセンパイ、小金井さん。ミスター器用貧乏、とあだ名される程の器用貧乏だと聞いていた割に、小金井さんは相当優秀にマネジメントをしてくれた。

そんなわけで順風満帆に芸能界という荒波を渡りながら、オレは少しずつ真剣に将来を考えて、決めていた。



「そうだ、結婚しよう」



ポン、と手を叩いてそう言った瞬間、近くを通りかかった小金井さんが驚きか何か、思いっきり吹き出して噎せこんだのも、今となっては懐かしい思い出のひとつみたいなものだった。


それでオレは、かねてより準備していたそれを持って、オレなりの覚悟を決めて、一番決まった格好で、Aの到着を待っていた。

場所は駅前、人通りも多いからとんでもない注目のされ方をすると思う。

Aがあまり好きじゃないシチュエーション。でも、どうしてもそうしたかった。


それから少しして、駅からAが出てくるのが見えた。



「A!こっちっス!」


「リョウ」


「久しぶりっスねぇ」


「今年のお正月以来だからね」


「あ、荷物持つっスよ」


「いいよ、大丈夫」


「そう言うのは彼氏の仕事っスよ。重いもん引きずってる彼女放置なんて、するわけないじゃないっスか」


「そう、言われても……」



申し訳なさそうな顔をしたAが「どうしたものか」と言わんばかりに眉を八の字にしたのを見て、オレは勢いで言った。



「Aの両手が塞がってたらオレが困るんスから!」







*

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設定タグ:黒子のバスケ , 黄瀬涼太   
作品ジャンル:恋愛
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西谷彩香(プロフ) - kirakirahikaru0さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけるととても嬉しいです!元々4年前に書き上げた作品でしたが、未だこうして誰かに見て貰えるというのはありがたいです。本当にありがとうございました! (2019年6月20日 5時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
kirakirahikaru0(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございます!!最後はうれしくて泣いてしまいました。 (2019年6月20日 1時) (レス) id: 094bc50104 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - ミリイ(灰崎信者)さん» コメントありがとうございます!この作品のリメイク更新も進んでいないので、終わり次第考えたいと思います。ご意見ありがとうございました! (2019年4月27日 19時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - 祥吾様の小説も書いて欲しいです (2019年4月27日 17時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - イチゴ・オーレさん» ありがどうございます!これからもよろしくお願いします!良ければ、他作品もご覧下さい! (2015年10月18日 11時) (レス) id: b540071b0b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/  
作成日時:2015年9月26日 22時

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