小さな箱。25 ページ26
*
『全力で引きますね』
「黒子っち酷いっス!?」
何でもないような日も過ぎ去り、Aが北海道に戻った数日後。
兼ねてより色々と相談して来た黒子っちに、例の件を相談したオレ。
答えはその通り、相変わらず辛辣な言葉をばっさりと吐き捨ててくれる。
『そもそも、黄瀬くんと付き合ってこんなに長く続いているんですよ?最早奇跡です。お相手の方の精神状態は正常ですか?』
「それ軽くAまで馬鹿にしてるっスよねぇ!?」
『馬鹿になんてしてませんよ。ただ、本当に、心の底から……黄瀬くんのどこがそんなに良かったのか。ボクが理解出来ないので伺いたいだけです』
「それを馬鹿にしてるって言うんスけど!?」
キャンキャン吠えて噛み付くオレに、黒子っちはやっぱりピシャリと「ハウスです」と電話口の向こうで無常にも告げた。
「最近輪をかけて黒子っち酷いっスよ……オレ、何かしたっスかぁ……?」
『いえ、特には。黄瀬くんは全く以て関係ないですね』
「完全にとばっちりじゃないっスか……」
『したくもなりますよ。ボクの気持ちを黄瀬くんが分かるはずないので、同意は求めませんが』
「ほんっとに辛辣っスね!?」
黒子っちの辛辣さは、年々増していた。
正直言うと、出会った頃からまぁまぁズバッとものを言う人だとは知ってたけど、高校時代は中学の時よりもそれがエスカレートし、その度合いは留まるところを知らず、こうしてただの毒舌敬語キャラになってしまった黒子っち。
原因を知っていて、そしてそれが根底深い問題であり、一生解決されることは無いんじゃないかと言う程のそれ。
と言うか、元凶は棚倉っちなんだよな、と思うと、ちょっと憎らしくも思えてくる。
黒子っちは吠えない狂犬みたいなものだから、と思いつつため息をつくと、電話口の向こうから「ボクと電話しながらため息なんて喧嘩売ってるんですか」と言う声が届いた。
それが理不尽ではなく、オレがため息をついたからでもあることを理解しつつ、それでもオレは叫び返した。
と言うか、言わずにはいられなかった。
「……あぁもう!黒子っち、いい加減オレに八つ当たりすんのやめて欲しいっス!!」
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西谷彩香(プロフ) - kirakirahikaru0さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけるととても嬉しいです!元々4年前に書き上げた作品でしたが、未だこうして誰かに見て貰えるというのはありがたいです。本当にありがとうございました! (2019年6月20日 5時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
kirakirahikaru0(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございます!!最後はうれしくて泣いてしまいました。 (2019年6月20日 1時) (レス) id: 094bc50104 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - ミリイ(灰崎信者)さん» コメントありがとうございます!この作品のリメイク更新も進んでいないので、終わり次第考えたいと思います。ご意見ありがとうございました! (2019年4月27日 19時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - 祥吾様の小説も書いて欲しいです (2019年4月27日 17時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - イチゴ・オーレさん» ありがどうございます!これからもよろしくお願いします!良ければ、他作品もご覧下さい! (2015年10月18日 11時) (レス) id: b540071b0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時:2015年9月26日 22時