小さな箱。12 ページ13
*
結局、羽屋っちは答えをくれなかった。
「それより部活！」とスマホの画面に映る時間をオレに突き付けて、着替えなきゃ、と走っていってしまった。
オレとしては、答えもらえないままの方がモヤモヤするし、気にするから早く答え欲しいんだけど、なんて言ったらそれはそれでせっかちの最悪な男、みたいになるし。
その日は普通に練習して、帰りにでも、と思えば何でか先に帰ってしまったらしく捕まえられず、それから数日教室でもまともに顔を合わせて話せずにいた。
何せ、羽屋っちがオレを避けるから、どうしようも出来ないでいた。
「羽屋っち、おはよう」
「……おはよう、」
挨拶こそ返してくれるけど、そそくさとオレから離れて行く。せっかく席も隣なのに、オレと反対隣の女子と話して、さっぱりオレの方を向いてくれない。
というか、間違いなくあれは照れてる反応だ。
困ってるもあるだろうけど、照れてると思う。自意識過剰と言われてもいい。
そうなると気になるのは、もう何ヶ月も前、入学式の日に校門までわざわざ羽屋っちを迎えに来た幼馴染だ。
ただの幼馴染がそこまでするのかと思うと、なんか違う。
「……付き合ってたら、勝ち目ないっスよねぇ」
そもそも、今避けられて全然話せてない時点で舞台にも上がれてないのかも。
だからって、それは諦める理由にはならない。
負けてからだってやりようはあるって、黒子っちが教えてくれたから。
それもきっと楽しいって、火神っちも言ったから。
「……とりあえず、インハイが終わるまでにちゃんと……」
そんなことをブツブツと呟いてたら、その日のホームルームがとっくに終わっていて、近くまで来ていた菊池が「何言ってんの？」と訝しげな顔をしながら聞いてきた。
すかさずそれに「何でもないっスよ」と冷や汗ひとつ見せず言い切ったオレはもう役者になれると思った。
……流石にこれはちょっと自意識過剰だったと認める。
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西谷彩香(プロフ) - kirakirahikaru0さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけるととても嬉しいです！元々4年前に書き上げた作品でしたが、未だこうして誰かに見て貰えるというのはありがたいです。本当にありがとうございました！ (2019年6月20日 5時) (
レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
kirakirahikaru0(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございます！！最後はうれしくて泣いてしまいました。 (2019年6月20日 1時) (レス) id: 094bc50104 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - ミリイ(灰崎信者)さん» コメントありがとうございます！この作品のリメイク更新も進んでいないので、終わり次第考えたいと思います。ご意見ありがとうございました！ (2019年4月27日 19時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - 祥吾様の小説も書いて欲しいです (2019年4月27日 17時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - イチゴ・オーレさん» ありがどうございます！これからもよろしくお願いします！良ければ、他作品もご覧下さい！ (2015年10月18日 11時) (レス) id: b540071b0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：西谷彩香 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時：2015年9月26日 22時
