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小さな箱。1 ページ2

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「あー、オレも今日から高校生なんスねえ……」



そう呟いて、『海常高校』の校門をくぐって眩しい太陽を見上げた。

オレは今日、この学校に入学する。

バスケ選手としての才能を見出され、オレを必要だと名乗りを上げた、この学校に。

それ自体は構わない。バスケはまぁ、好きだし。オレとしても、そうやって才能がある、と言われるのは青峰っち達のような存在だと思われている、と実感出来て嬉しい。


……それでも、この状況だけはやっぱり予想通りで憂鬱だった。

モデルとしても知名度のあったオレが女子に囲まれ、動きたいように動けないのはオレとしても迷惑だ。オレはさっさと体育館に行って座りたいのに。

オレはため息をついて、周りに集まる子達に愛想を振りまきつつ、どう撒くかを考えていた、その時だった。


春一番、にしては遅い、強めのその風が吹いて、一瞬視界を奪われ、手で目を守りながら隙間に見えた人影に、思わず目を凝らした。

どうしてそうしたのかは、自分でも分からなかった。


だけど、どうしても目を離せなくて。

風が止んだ時、その人影をもう一度見れば、同じ新入生の証である花を胸元に飾った、女の子だった。


普段なら、自分から女の子を気にすることも無い。勝手に寄ってくるのだから、当然と言えば当然だ。

だからオレはオレに驚いた。


一体何なんだろうって、考えても答えなんて出なくて。

そうこうしてるうちに、その子がこちらを向いた。

思わず息を止め、そちらをガン見してしまう。するとその子もオレの視線に気づいてオレと視線を合わせた。


……モデル業界なら、きっとあの程度いくらでもいるだろう。

綺麗な見た目の、ポニーテールの女の子。


その子はオレと数秒視線を交わらせて、それからふいっと視線を逸らし、オレに背を向けて歩いていく。


その後ろ姿を、オレは思わず追っていた。

本当に、気付けばその子の腕を、後ろから掴んで引き止めていた。









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設定タグ:黒子のバスケ , 黄瀬涼太   
作品ジャンル:恋愛
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西谷彩香(プロフ) - kirakirahikaru0さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけるととても嬉しいです!元々4年前に書き上げた作品でしたが、未だこうして誰かに見て貰えるというのはありがたいです。本当にありがとうございました! (2019年6月20日 5時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
kirakirahikaru0(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございます!!最後はうれしくて泣いてしまいました。 (2019年6月20日 1時) (レス) id: 094bc50104 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - ミリイ(灰崎信者)さん» コメントありがとうございます!この作品のリメイク更新も進んでいないので、終わり次第考えたいと思います。ご意見ありがとうございました! (2019年4月27日 19時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - 祥吾様の小説も書いて欲しいです (2019年4月27日 17時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - イチゴ・オーレさん» ありがどうございます!これからもよろしくお願いします!良ければ、他作品もご覧下さい! (2015年10月18日 11時) (レス) id: b540071b0b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/  
作成日時:2015年9月26日 22時

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