キセキとラノベ 315 ページ15
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彼女は少し、後悔していた。
こんな言い方、目の前の赤司征十郎、彼と変わらない。それで、神奈が自分を選んでくれるのか。
もしかしたら、可能性として、こんな姉いらない、探して損した、などと言われることすら覚悟したというのに。
「…私は、」
神奈は。
「家族が…姉さんが、大事、…だから」
神奈の言葉に、一瞬動きを止めて彼女は神奈を凝視する。嘘を言っているようには当然見えない。そもそも、この短期間の間で何となく分かったのは、神奈はとてつもなく嘘が下手という事。
だからこそ、その言葉は真実味を増して。
「神奈…!」
「姉さん、姉さんは私の大事で大切で、だーい好きな姉さん、なんだよ」
そう言い切った神奈を、彼女は抱きしめて言う。
「ごめんね、神奈…私も、こんな言い方したけど…でも、本当に神奈が、」
「分かってるよ、姉さん」
そんな彼女たちを見て、赤司は不敵に笑う。
神奈を抱きしめたまま、赤司を見やる彼女ははっとする。赤司が、こちらを向いて不敵に笑っているのだ。
「………神奈、今日は、うちに泊まりませんか?」
「え?…あ…いや、その…ホテル……に、」
「……そうですか」
「うん、レオ姉も、コタくんも待ってる…から」
「…分かりました。
静かに神奈を離すと、彼女は赤司を睨みつけるかの如く、鋭い視線を投げる。
「…赤司さん、
その言葉には、「妹に何かしようものなら容赦しない」と言う裏があったのを、赤司も感じたのだろう。
肩を竦めて、「あぁ」と返事をする。
「神奈。…本気ですから。」
彼女はにこりと笑って、そう告げるとその場を立ち去る。
話し込んですっかり頭から抜け落ちていたが、今日は試合観戦だ。今日の試合で勝った相手が、次の誠凛の相手となる。
そんな試合だから、彼女は見たかった。
急ぎ足で歩きながら、黒子から届いていた何処で観戦しているかのメッセージに「今から向かいます。遅れてすみません」と送って軽く走り出した。
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西谷彩香(プロフ) - 如月レンさん» お久しぶりです!花宮と夢主の関係性、また、夢主の知らない所で繋がる、影と妹。姉妹関係と、恋人関係…随分と厄介なことに自分から頭を突っ込み始めました夢主。…何はともあれ、今後も頑張ります!友達申請に関しては大歓迎です、いつでもどうぞ! (2016年11月20日 22時) (レス) id: 237a91988d (このIDを非表示/違反報告)
如月レン(プロフ) - 西谷彩香さん» お久しぶりです。ログインしました。 成る程、花宮と夢主は、そういう関係だったんですね。少しずつ、妹ちゃんと仲良くなるのに感動します。(笑)これからの展開が楽しみです。更新、頑張って下さい。 後、友達申請をしても宜しいですか? (2016年11月20日 22時) (レス) id: 84fcaaee34 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - 如月レンさん» 毎度コメントありがとうございます。今回「11」でのキーパーソンは妹の神奈と花宮になると思います。先が見えなくなってきていますが、着実に前に進んでいます。どうぞ最後までお付き合いよろしくお願いします。 (2016年10月5日 18時) (レス) id: 237a91988d (このIDを非表示/違反報告)
如月レン - 西谷彩香さん» お久しぶりです。花宮の夢主が全てというような言葉が気になります。段々と展開の読めないストーリーなってきて、読むのが楽しみです。更新、頑張って下さい。 (2016年10月5日 17時) (レス) id: 84fcaaee34 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - 如月レンさん» 毎度コメントありがとうございます!そうですね、アメリカンジョークで無理矢理通した感は否めませんが(笑)そうですね、ここで答えを出す事で、この先を更に誰も予想できない方向へ持っていきたかったので、こうなりました。今後の展開にこうご期待ください! (2016年8月19日 18時) (レス) id: 237a91988d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時:2016年8月1日 15時