ぼくは溺れる

ボリュームアップ ページ11

昨日の電話は


俺が撮影に戻るまでのたった5分間だけだった


火鍋が食べたいってAちゃんが言って


俺が予約しとくって決めて


Aちゃんはお休みだけど


特にすることもなくて


家でNetflix見てるんだーって。


俺も休んでだらだらしたいーって言ったら


今日頑張ったら明日火鍋だよー


乗り切れ裕太くん！


とか可愛いこと言ってもらって


電話はおしまい。


たった5分が、Aちゃんとの電話だと


余計に短く感じて 寂しく感じて


俺、相当きてんなーって。


割と簡単に狙えば相手から来てくれて


とんとん拍子で付き合って、別れて、


少なくともこんなにうまくいかない人を


好きになったことも


こんな簡単に落ちちゃったこともなくて。


はじめてだらけで心が追いつかない。




でも、今日はこの仕事が終われば


Aちゃんと久々に会える


そう思えば全然仕事は頑張れる


藤ヶ谷「なんかたま 今日機嫌いい？」


「んー？なんでー？」


藤ヶ谷「んー？じゃなくて、スピーカーのボリュームでかすぎだからー！下げろ！なんでお前は機嫌とボリューム一緒に上げ下げすんだよいつもー」


いつもだったらガヤに何言われても


変えてやんないボリュームを


今日は、はいはいって すぐ下げた


藤ヶ谷「だーから、下げろって……え？下げたの？どうした？機嫌良すぎじゃない？こわいけど」


「今日は夜ご飯火鍋だから」


そう言うと、え？て眉間にしわ寄せられて


藤ヶ谷「……火鍋そんな好きだっけ？」


「昨日から大好物なのー」


藤ヶ谷「お前まじで今日おかしいぞ？熱か？」



ガヤに無駄に心配されつつも


ご機嫌で今日の仕事を終えた

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