月のお姫様2【BLEACH】完

57 ページ7

-


「白夜さん！中に入らないんですか？」

白夜「くるみ…もう、挨拶は回りきったのか？」

「はい。滞りなく！」


だるま屋の前には大きな池があり、そのほとりで酔い覚ましができるようにと長椅子が置いてある

くるみは一人手酌で酒を飲む白夜の後ろ姿を見つけて隣に腰を下ろした


直ぐ後ろからは未だに祝福の言葉が聞こえてくる
中では平子が次から次へとつがれる酒を浴びるように呑んでいる
くるみはこっそりその場から逃げ出していた



「式の準備、司会進行等色々とありがとうございました
本当に助かりました」

白夜「礼には及ばぬ。当然の事をしたまでだ」

「ふふっ、皆にも良く言われるんですけど
白夜さんも、夜一さんも私にちょっと甘すぎません？」


嬉しそうにそう言いながら、白夜の手にあるおちょこに酒を次ぐくるみ
白夜はつがれた酒に写る月を少しだけ見つめて
一口で飲み干した



白夜「今日のくるみは…とても美しかった」

「え、あ、ありがとうございます！」

白夜「随分と皆から愛されている…」

「へえっ！？え、はい！それはもう、とっても？」

白夜「幸せに…」


真っ直ぐにくるみを見つめる白夜はとても穏やかに、美しく笑った

その顔に耳まで赤くなるくるみ

そして、その後ろ姿を見つめていた男が二人


平子「くるみー！！！浮気やー！」

恋次「隊長ー！もうくるみは人妻なんですよ〜！」


酔っぱらいの男二人が飛び出してくると同時に
凛とした鈴のような声がくるみを呼んだ




「ママ〜！！！！」


「えっ！？満月！！」


平子と恋次がバタンと倒れると、その前を颯爽と一人の少女が掛けていった



満月「ママっ！！」

「満月何でここに？？夜は白夜さんのお屋敷でお留守番っていったじゃない」


くるみの腰に抱きついてきた少女は

平子満月(みつき)

くるみと真子、二人の娘である


満月はさらさらの銀色の長い髪を夜風になびかせてくるみの足元で興奮覚めきらぬ様子でぴょんぴょんと跳ねている



満月「だってだって！ママに会いたかったんもん！」

「〜〜っ、ママも満月に会いたかったよ〜！！」


平子「ぱ、パパもここにおるでぇ〜！！」


涙目で未だに地面に倒れている平子に満月は
何でそんなところで寝てるの？と小首を傾げる


くるみは満月に目線を合わせるようにしゃがむと
満月はくるみの着物姿を見て頬を膨らました

58→←56

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す